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+ 目次 舌戦 Verbal Duels 舞台設定 Setting the Scene観衆の推察 Assessing an Audience 観衆の偏見 Audience Biases 観衆への先入観の植え付け Seeding an Audience 優勢 Edges 言葉による決闘 Dueling with Words作戦 Tactics選択ルール:印象的なロールプレイ Optional Rule: Inspired Roleplaying 嘲り Mockery お世辞 Flattery おとり Red Herring 感情的な訴え Emotional Appeal 機知 Wit 寓話 Allegory 存在感 Presence 釣り餌 Baiting 美辞麗句 Rhetoric 論理 Logic 舌戦の論議 Verbal Exchanges 舌戦の終了 Ending a Duel 多方向の舌戦 Multidirectional Duels チームでの舌戦 Team Duels 舌戦の例 An Example Duel 舌戦 Verbal Duels 出典 Ultimate Intrigue 176ページ 棒や石は骨を折るかもしれないが、言葉は心を砕くことができる。舌戦とは剣城ではなく言葉の戦いであり、熟練した弁士が事実、言葉選びと修辞的な技巧を駆使して議論を勝ち取ったり群衆を煽動したりする。この種の決闘は通常、聴衆の前で行われる。しかし、以下のルールは個人的な議論や、複数の視点が議論の場で対立する大規模な議論にも使用できる。 以下のルールの多くは、舌戦が主要な対戦相手2人の間で行われ、弁士の心が揺らぐ姿を見る観客の前で行われることを前提としている。実際、弁士とその仲間は群衆の偏見を見抜き、それに合わせて行動することで勝算を高めることができる。舌戦での聴衆は怒った暴徒、当地評議会や上院議員、法廷で審理中の陪審員、パーティでの社交界の人々である。それがどこであれ、キャラクター2人が機知に富んだ辛辣な発言をすることで、互いに最高の地位を得られるかもしれない。 舞台設定 Setting the Scene 出典 Ultimate Intrigue 176ページ 舌戦の舞台設定で重要なことは、参加するPCに問題点を認識できるようにすることだ。ある状況では、この種の対立は弁士が相手の意見を黙らせようとする、単純な2人の争いだ。弁士2人がオペラ競技やフェンシングの防御の利点について議論し、負けた方がその夜の飲み物を奢るというのは、面白くて奇抜なことかもしれない。平和と戦争の功罪について軍司令官会議における討論のように、舌戦は参加者がなんらかの重大な問題について議論する、神経をすり減らすような争いになることもある。 また、舌戦が相手を動揺させられるかを判断することも重要だ。例えば、見張りの部隊長とPCの1人の間で舌戦が発生した場合、PCは暴徒に不正を働く高僧の塔を攻撃させようとするが、部隊長は暴徒を解散させようと説得を試みる。観衆はしばしば自身の動機と思考を持っており、舌戦中のある種の戦術は、そのメンバーに大なり小なり影響を与え、その結果を変えることもある。このような観衆の態度の特性と、そこにどのように影響を当てるかを決定することは、ときに強力な優位を与えることができる。 観衆の推察 Assessing an Audience 出典 Ultimate Intrigue 176ページ 弁士とその仲間に舌戦の開始までに10分以上時間があれば、聴衆の偏見(後述)を調べようと試みることができる。DC15の〈真意看破〉判定に成功すると、弁士とその仲間は観衆の偏見1つを知ることができる。観衆の評価を行う際、観衆の心持ちが特に堅いと感じる場合や偏見が目立たないとGMが判断するなら、DCがより高くなる可能性もある。キャラクターが観衆の偏見を評価するために〈真意看破〉判定を試みたなら、観衆を評価することができるだけの十分な時間が残っていたとしても、そのキャラクターはこの判定を再挑戦できない。 観衆の偏見 Audience Biases 出典 Ultimate Intrigue 176ページ 舌戦が心を動かしうる観衆を取り込んだものである場合、GMは監修が好む、あるいは嫌う戦術の種別を好きな数だけ決定する。観衆が特定の戦術に対して負の偏見を持つ場合、弁士はその戦術を使用する際、関連する技能判定に-2のペナルティを受ける。観衆が戦術に対して正の偏見を持つ場合、弁士はその戦術を使用する際、関連する技能判定で+2のボーナスを得る。-5~+5の範囲のペナルティとボーナスを与える、より強い偏見を持つ観衆も存在しうる。 舌戦に観衆がいない場合、観衆の偏見を考慮する必要はない。 GMは好きなように偏見を設定できるが、それぞれの偏見が合理的で、観衆の態度に合うものでなければならない。頑固なウィザード集団は寓話に負の偏見を持つが論理を喜んで迎え入れ、やんちゃな酒飲み集団は嘲りには強い正の偏見を持つが論理にはブーイングを始めるだろう。GMは全ての戦術に偏見を設定する必要はない。しかし少量の偏見を設定することで、舌戦の面白さや雰囲気がまし、弁士の仲間が観衆を評価し、先入観を植え付けることで舌戦に影響を与えることができる。 観衆への先入観の植え付け Seeding an Audience 出典 Ultimate Intrigue 176ページ 観衆の偏見を1つでも知ってしまえば、キャラクターは観衆に先入観を植え付け、舌戦で利益を得ようとすることができる。GMは観衆への先入観の植え付けは不可能、あるいは非常に難しいと判断するかもしれない。例えば、法に厳しい社会で陪審員に先入観を植え付けることは非常に困難で、違法であるかそもそも不可能かもしれない。先入観を植え付けられる慣習に対して、各弁士の仲間は別の方向に議論を向かわせることができる。 観衆に先入観を植え付けるために、キャラクターは舌戦が始まる前に観衆に加わる人と少なくとも10分を過ごす必要がある。その上で、自分が知っている観衆の偏見 1つを選択し、最低でもDC15の〈威圧〉、〈交渉〉、〈はったり〉のいずれかの判定に成功しなければならない。特に困難な状況では、仲間が観衆やそのほかの情報に精通していないという理由で、GMはDCをより高く設定するかもしれない。極めて難易度の高い状況では、弁士のレベル+15~20にもなる。 キャラクターが正の偏見を選択して判定に成功したなら、選択した弁士は舌戦においてその正の偏見に関連する戦術を使用する際に使用できる優勢 (177ページ参照)を1つ得る。キャラクターが判定に失敗したなら、同じ観衆に再度植え付けを行うことはできない。キャラクターが5以上の差で判定に失敗したなら、弁士の力添えとしてその正の偏見に植え付けを試みることはできなくなる。 キャラクターが負の偏見を選択して判定に成功したなら、選択した弁士は舌戦においてその負の偏見に関連する戦術を使用する際に使用できる優勢を1つ得る。キャラクターが判定に失敗したなら、同じ観衆に再度植え付けを行うことはできない。キャラクターが5以上の差で判定に失敗したなら、弁士の力添えとしてその負の偏見に植え付けを試みることはできなくなる。 どちらの弁士の側も、舌戦が始まる前に観客への植え付けを試みることができる。同じ偏見に植え付けを行うこともできるが、弁士は特定の偏見への植え付けへの利益は1回しか得られない。 優勢 Edges 出典 Ultimate Intrigue 177ページ 先入観への植え付け、舌戦の戦術の技の使用、相手が論議の終了を決定する、その他の効果などで、優勢は与えられる。弁士は優勢を1つ消費することで、舌戦の戦術に関連した技能判定1つで再ロールできる。例えば、正の偏見の植え付けで得られた優勢は、その偏見に関連した戦略を使用する際にのみ使用できる。 技能修正能力による優勢の獲得/Gaining Edges From Skill-Modifying Abilities:能力値を修正するか、技能ランクを修正する、あるいは戦術に影響を与える効果と能力のみが、舌戦における関連技能判定に直接適用される。ただし、特定の状況における技能の仕様ではなく、関連技能全体の修正を増加させる効果は、代わりに優勢を与える。例えば、グリブネスの呪文は関連した技能判定に適用されないだけでなく、優勢も与えない。これは、〈はったり〉の通常の修正値自体を増加させるのではなく、特定の状況で〈はったり〉が使用される場合にのみボーナスを与えるためだ。 サークレット・オヴ・パースエイジョンや《技能熟練》のように、舌戦に適用される呪文や効果は、技能判定に通常の修正を与える代わりに、それが与えるボーナスの合計値の1/3に等しい数の優勢を与える。例えば、《技能熟練:交渉》を持ち、〈交渉〉に10ランクを割り振っているキャラクターは、+6のボーナスを得ないが、その代わりに優勢を2つ得る。これらのボーナスを全て合計した後に3で割ること。この形で与えられる全ての優勢は、その技能に関連する特定の戦術にのみ使用できる。 多くの場合、魔法を使って舌戦の技能を強化することは無様な行為とみなされ、ルール違反であると考えられることさえある。舌戦が公のものになればなること、魔法を使う機会が制限されたり魔法そのものが禁止される可能性が高くなる。これは、法的な状況での舌戦ではよく見られることだ。 言葉による決闘 Dueling with Words 出典 Ultimate Intrigue 177ページ 舌戦がどのように始まり、どの参加者が最初に行動するかは、場面の詳細な状況によって決まることが多い。例えば、法廷で争うPCが被告であれば、検察側が舌戦を開始し、最初の論議で対抗することになり、守勢に立たされるかもしれない。公爵の助力を得ようとしているPCは舌戦を開始し、好意を求め、助力を与えることが公爵にとっての最大の利益になるかを論証するかもしれない。夕食会では司会者が最初の論議を始めるゲストを選ぶ時に遊び心のある知恵比べが始まるかもしれない。 舌戦が始まると、それぞれの弁士は決断力プールを得る。決断力は個人的な人を惹きつける力、生得的な知性、相手の戦術を判断して対応する能力、舌戦に関する他のあらゆる要因を組み合わせたものである。舌戦が進むにつれ、論議が行われ、この値が増減する。弁士は論議で譲歩するか立場を失うたびに、論議の価値に等しい決断力を失う。それ以外の要因も弁士の決断力を減少させる場合がある。弁士の決断力が0以下になると、舌戦に敗北する。 決断力/Determination:弁士の基本決断力は、弁士の【知力】修正値と【判断力】修正値と【魅力】修正値の平均(最低0)+合計HDに等しい。 決断力の調整/Adjusting Determination:GMの裁量により、状況と効果によって、決断力プールが増加する場合もある。例えば、特定の種類の舌戦では、平均ではなく能力値1つの修正値を使用する方が理にかなっている場合もある。長時間にわたる舌戦、特に低レベルにおけるものでは、3つの精神能力値修正のうち最も高いものを用いたり、精神能力値修正から2つ(あるいは3つ全て)を合計したりすることが理に叶っているかもしれない。 決断力を調整する主な方法の1つは、キャラクターの1人が社会的に有利な地位か不利な地位かを考慮することだ。GMはある状況におけるキャラクターの社会的優位性や不利益の詳細を自由に決定できる。しかし基準となる分類は4つあり、極めて有利、有利、不利、極めて不利である。極めて有利なキャラクターは決断力を2倍し、優勢を5つ得る。有利なキャラクターは決断力を1.5倍し、優勢を3つ得る。不利なキャラクターは決断力を3/4にする。極めて不利なキャラクターは決断力を1/2にして、 link_achorを3つ失う(最低0)。 作戦 Tactics 出典 Ultimate Intrigue 178ページ 作戦は舌戦における武器だ。舌戦の開始時に、それぞれの弁士は関連する技能を持つ作戦に自分の技能を割り振ることができる。弁士は技能ごとに1つの作戦しか割り当てることができない。そのため、弁士が寓話に〈芸能:朗唱〉を割り当てた場合、感情的な訴えに割り当てることはできない。キャラクターは舌戦において、技能ランク(その技能がクラス技能の場合、ランクを持つことによる+3ボーナスを含む)と【魅力】修正値を加えた修正値を計算する。選択した技能にかかわらず【魅力】修正値を使用するが、《論理武装》(85ページ参照)を修得している場合は例外である。バードの多様なる芸により、〈芸能〉ボーナスを使用する技能2つを使用できるようになる。これにより、この能力を持つキャラクターは、〈芸能〉1つにしかランクを割り振っていない場合でも、処理上 3つの技能を異なる作戦に割り当てることができる。 弁士は観衆の偏見と以下の要素によって、作戦に関連する技能判定にボーナスやペナルティを受ける場合がある。 直前の作戦/Last Tactic:自分に対して使用された直前の作戦と同じ作戦を使って対抗するのは、まずいやり方だと思われがちだ。そうする場合、その戦術に関連する技能判定に-2のペナルティを受ける。例えば、相手が君に嘲りを使用した場合、反撃として嘲りの作戦を使用できはするが、その場合、関連する技能判定に-2のペナルティを受ける。 作戦の繰り返し/Repetition of Tactics:同じ作戦を何度も何度も使用することは、舌戦に勝つための有効な方法ではない。舌戦の中で特定の作戦との論議に勝つたび、以降同じ作戦を使用する際に関連する技能判定に-2のペナルティを受ける。このペナルティは累積する。その時点で、観衆も相手も、君がその作戦で提供する最良のものをいくらか見たことがあるからだ。 作戦の相互作用/Tactic Interaction:作戦の中には他の作戦に対抗するのにそれほど有効でないものもある。その一方で、特定の作成んに効果的に作用するものもある。例えば、論理を生かした意見に嘲りで対抗するのは難しく、ほとんどの作戦は釣り餌により仕掛けられた言葉の罠を失敗させるのは難しい。ほとんどの作戦の説明には、その作戦の衝突と相乗効果を示した「相互作用」という項目がある。 選択ルール:印象的なロールプレイ Optional Rule: Inspired Roleplaying 誰もがキャラクターのデータが示すほど言葉のやり取りが上手というわけではない。しかしプレイヤーは舌戦の際に自分の作戦をロールプレイしたがるものだ。特に興奮させる、あるいは心を動かすロールプレイに対して、GMは作戦の関連技能で+2までの修正を与えても良い。舌戦の間の見事なロールプレイでは、GMは優勢を1つ与えても良い。その優勢は何に対しても使用できるものでも良いし、特定の作戦向けのものでも良い。 嘲り Mockery 個人的な攻撃や中傷、創造的な侮辱により、相手を貶す。嘲りは相手が評判の良くない戦術を使用するときに最も効果的だ。 関連技能:〈威圧〉、〈芸能:お笑い〉、〈はったり〉。 相互作用:機知あるいは論理に対抗するために嘲りを使用すると、関連技能の判定に-2のペナルティを受ける。 特殊:観衆が負の偏見を持つ作戦に対抗するために嘲りを使用すると、関連技能の判定に+2のボーナスを得る。また、このような作戦に対して嘲りを使用して論議に勝利したなら、アンティを1増加する。観衆が正の偏見を持つ作戦に対抗するために嘲りを使用すると、関連技能の判定に-2のボーナスを得る。また、このような作戦に対して嘲りを使用して論議に勝利したなら、アンティを1減少させる。 お世辞 Flattery 相手に気に入られることで、油断させたり、何か他の利益を得たりする。通常は欺瞞的で心を操ろうとするものだが、純粋に好印象で友好的なキャラクターの行動も含まれる。 関連技能:〈交渉〉、〈知識:貴族〉、〈はったり〉。 相互作用:嘲りに対抗するためにお世辞を使用すると、関連技能の判定に-2のペナルティを受ける。存在感に対抗するためにお世辞を使用すると、関連技能の判定に+2のボーナスを得る。 特殊:お世辞による論議に勝利したなら、論議のアンティを2減少させ(最低0)、舌戦における任意の技能判定に使用できる優勢を1つ得る。 おとり Red Herring この戦術は相手や観衆を議論の中心から逸らし、現在の論議の危機を避けるために使用される。おとりは口火を切るために使用することはできないが、継続するにはあまりに危険になってしまった論議を、速やかに終了するために使用できる。 関連技能:〈芸能:朗誦〉、〈はったり〉。 特殊:口火を切るためにおとりを使用することはできない。おとりを対抗として使用する際、関連技能の判定で+4のボーナスを得ることを選択できる。ボーナスを得ることにして判定に成功したなら、通常通り論議を続けてエスカレートさせるのではなく、アンティを0に減らして自動的に論議に勝利する。通常とは異なり、君は次の論議を開始する。 感情的な訴え Emotional Appeal 君は相手や観客の感情的な欲求に訴えるような議論をする。この作戦は、地位や知識で優位に立つ相手に対して特に有効だ。感情的なアンティの増加は報われることもあるが、危険を孕む。 関連技能:〈芸能:朗誦〉、〈真意看破〉、〈はったり〉。 相互作用:存在感、美辞麗句、論理に対抗するために感情的な訴えを使用すると、君は関連技能の判定に+2のボーナスを得る。 特殊:感情的な訴えを用いて対抗に成功したなら、論議のアンティを追加で1増加させる。 機知 Wit ユーモアや知性を用いて相手より優位に立つが、冗談やからかいがうまくいかないと、この作戦は裏目に出てしまう。 関連技能:〈芸能:お笑い〉、〈言語学〉。 特殊:機知を使用する際、関連技能の判定に+2のボーナスを得ることを選択できる。選択したが関連技能の判定に失敗した場合、自分の決断力を1だけ減少させる。5以上の差で失敗したなら、この舌戦の間、機知における関連技能の判定に-2のペナルティを受ける。 寓話 Allegory 君は討論を構成するために基礎となるメッセージを含んだ、寓話やことわざを使う。論議の熱意の中で寓話を使うことは特に難しいが、非常に効果的なきっかけを作ることができる。 関連技能:〈芸能:演芸〉、〈芸能:朗誦〉、〈知識:宗教〉、〈知識:歴史〉。 相互作用:寓話を対抗として使用する場合、関連する技能判定に-2のペナルティを受ける。 特殊:論議の開始に寓話を使用し、相手が論議を試みることなく終了することを選択した場合、君は優勢を得るのではなく、論議の現在のレートを(敵の決断力が減少する前に)2だけ増加させる。 存在感 Presence 自信や本当の高貴さを示したり、単に気取ってみせる。相手の主張がずれていたり相手に飛び火しても、君は傷つくことはない。この作戦は嘲りや釣り餌を逸らすことができるが、他の作戦にはあまり効果がない。 関連技能:〈威圧〉、〈知識:貴族〉。 Interaction:嘲りあるいは釣り餌に対抗するために存在感を使用すると、関連技能の判定に+2のボーナスを得る。おとり、感情的な訴え、寓話に対抗するために存在感を使用すると、関連技能の判定に-2のペナルティを受ける。 特殊:存在感を使用して論議に勝利したなら、決断力を1ポイント回復する(最大で開始時の決断力まで)。 釣り餌 Baiting 脅しと辛辣な言葉を投げかけたり、偽りの二者対立を突きつけたりすることで相手を罠にはめる。すでにアンティが十分高いときに釣り餌は有効だ。このような場合、君の罠にはまる方が後退するよりもダメージが少なくて済むからである。 関連技能:〈威圧〉、〈芸能:お笑い〉、〈真意看破〉、〈はったり〉。 相互作用:存在感以外の作戦を使う弁士は、釣り餌に対抗する際に関連技能の判定に-2のペナルティを受ける。 特殊:釣り餌で論議を開始することはできない。敵が釣り餌に対抗することなく論議を終了することにしたなら、釣り餌は論議に勝利したことによって以降の関連技能判定に通常なら受けるはずだった-2のペナルティを受けない。 美辞麗句 Rhetoric 有利な修辞的手段を用いて相手の議論を押しつぶす、多様なことに使える討論術を用いる。この作戦に含まれる弁論術の大部分は、単純で率直な言語手段である。欺瞞的な討論術には、しばしば嘲り、おとり、感情的な訴え、釣り餌といった異なる作戦の一部にも含まれている。美辞麗句は他の作戦が持つ危険性の一部を取り除いた、様々なことに使用できる作戦ではあるが、大きな見返りもない。 関連技能:〈芸能:演芸〉、〈芸能:朗誦〉、〈言語学〉、〈交渉〉。 特殊:美辞麗句はほとんどの観衆が意識的に気づかない、微妙な言葉の選択を伴う。そのため、観衆が美辞麗句に対して負の偏見を持つことは非常に珍しい。 論理 Logic 論理を使用する場合、事実や数値、専門家の証言を示す。論理を使って相手や観衆を誤解させることもできるが、他のほとんどの作戦とは異なり、そのためには議題についての深い理解が必要となる。 関連技能:〈知識:関連するもの〉;時折、他の技能が適用できる場合もある。例えば〈鑑定〉(交易や値段交渉に関する舌戦の場合)や〈職能〉(〈職能〉の技能に関連する知識や実務を含む舌戦の場合。例えば、裁判における〈職能:法律家〉など)が挙げられる。 相互作用:論理を論議の口火を切るために使用すると、関連技能の判定に+2のボーナスを得る。嘲り、おとり、感情的な訴え、機知、釣り餌に対抗するために論理を使用すると、関連技能の判定に-2のペナルティを受ける。 特殊:論理を使用した論議に勝利すると、優勢を1つ得る。この優勢は論理にのみ使用できる。 舌戦の論議 Verbal Exchanges 出典 Ultimate Intrigue 180ページ 舌戦は論議の繰り返しの中で争われる。それぞれの論議は論争であり、その中でそれぞれの弁士は相手より優位に立ち、相手が議論を続ける決断力を減退させようとする。論議の終了は舌戦の終了であることもあれば、討論の会話の流れの変化を示すこともある。 論議の開始時に、弁士の一人は口火を切る作戦を1つ選択し、その作戦の関連技能の判定を行う。そして論議のアンティを0から1に増やし、判定の結果を現在の論議のDCとして設定する。論議のアンティは、論議の中で絶えず変化する値で、 通常は増加していく。論議で敗北するか論議を終了させることを選択した弁士は、論議のアンティに等しい値だけその決断力を減少させる。 この時点で、相手はこの口火に対抗するか、論議を終了するかを選択しなければならない。相手の決断力が1以上残っているなら、新しく論議の口火を切るか、舌戦から降りるかを選択することができる。口火に対抗することにしたなら、まずアンティを1だけ増やし、戦術を選び、関連技能の判定を試みる。この技能判定が論議の現在のDCを超える(訳注:原文通り。他のDC同様なら以上か)なら、論議は継続する。論議を終了させることを選ばないなら、この判定の結果は元の弁士が対抗するための新しい論議のDCとして設定される。相手の判定が論議の現在のDCを超えない(訳注:原文通り)場合、相手は論議に敗北し、必要なら決断力を減少させる。しかし、その優勢を1つ以上消費して関連技能の判定を再ロールすることもできる。相手が論議を終了することにしたなら、論議のアンティの値だけ決断力を減少させ、相手は優勢を1つ得る。 弁士はこの一連の流れを、論議を終了することにするか、弁士が相手の作戦への対抗に失敗するか、舌戦が終了するまで繰り返す。弁士が論議を終了することにしたか戦術に対抗できなかった場合、その決断力は現在のアンティに等しい値だけ減少する。論議を終了したか相手の作戦に対抗できなかった場合、まだ決断力が残っているならば、新しく論議を開始するか舌戦から降りるかを選択できる。 舌戦の終了 Ending a Duel 出典 Ultimate Intrigue 181ページ 論議が終了した時点で、いずれの弁士も舌戦の終了を呼びかけ、舌戦を終わらせる条件を設定できる。その場合、双方が合意すれば引き分けとみなすこともできるし、一方が譲歩を要求することもできる。弁士の1人の決断力が0以下になると、舌戦は即座に終了する。この場合、もう一方の弁士が勝利する。いずれの場合も、勝利した弁士は、舌戦のシーンで定義されている通りに、成功から社会的な利益を獲得する。舌戦の勝利や敗北が予想外の事態を招く可能性がある。例えば、弁士は自分のライバルである腐敗したアドバイザーとの舌戦を始めるかもしれない。成功した後、弁士はアドバイザーが背後で陰謀を企てていることを講釈に納得させるだけでなく、密かに秘密の試練に誘う公爵夫人の目を引くかもしれない。 多方向の舌戦 Multidirectional Duels 出典 Ultimate Intrigue 181ページ 例外的な状況ではあるが、舌戦に3人以上の独立した弁士が参加することがある。この場合、以下の変更によってルールを同じように機能させることができる。まず、弁士が論議を開始したなら、他の弁士から1人を選び、2人の間で論議を進める。その論議の勝者が決まるか論議が終了すると、勝者は別の弁士との論議を開始しなければならない。これを弁士が1人だけ残るまで繰り返す。 チームでの舌戦 Team Duels 出典 Ultimate Intrigue 181ページ チームでの舌戦は多様性のある選択肢で、議論の一方を代表する人が数名、あるいは多数いるような、様々な状況を表現できる。例えば、怒りに満ちた農民の集団を説得しようとする冒険者のチームや、新しい法案を審議しようとする立法機関が挙げられる。チームでの舌戦は社交的な技能に最も優れたキャラクターだけではなく、チーム全体を巻き込むため、冒険では特に役に立つ。 一般に、チームでの舌戦は、双方に3人以上の参加者がいる場合に最も効果的だ。ただし、冒険者と農民の集団のように、人数の少ない側が相手に対して技術的に大きな優位性を持つ場合はこの限りではない。多方向の舌戦とチームでの舌戦を組み合わせることもできるが、推奨しない。チームでの舌戦は観客が2つのチームのどちらかとして参加することが多いため、観客がいないことが多い。 チームでの舌戦では、チーム内の最高の決断力に基づいて決定される決断力を、全てのメンバーで共有する。これは強力な弁士を1人持つチームでは有利に働くため、GMは共通の信念や意見を持つ特に大きな集団の決断力を、その規模に応じて2倍以上にし、統一した決意を揺り動かすことの困難さを表現できる。 一人での舌戦では、弁士が与えられた作戦での論議に勝利すると、その作戦は以降の舌戦において、累積する-2のペナルティを受ける。チームの舌戦では、弁士が論議に勝利すると、その人物は全ての作戦における関連技能の判定に-2のペナルティを受ける。似たような意見を持っていても、様々な意見を聞くことで、チームの意見に信頼を与えるのだ。 舌戦の例 An Example Duel 出典 Ultimate Intrigue 181ページ レムはメリガスターが貴族グループを操っていることに気づき、その兄が持つ邪悪な計画を暴露したいと考えている。メリガスターは兄を呼び、貴族の前で舌戦を行わせる。メリガスターは自分に大きな強みがあることを知っており、貴族のこともよく理解しているので舌戦を喜んで受け入れると、貴族が持つお世辞と機知に対する正の偏見を植え付ける。メリガスターは極めて高い優位性を持つため決断力を12持ち、それに対してレムの決断力は8だ。メリガスターはその優位性から優勢を3つ持ち、お世辞と機知のそれぞれに使用できる優勢も持っている。 レムは論理を用いて舌戦の口火を切る。関連技能の判定で結果は20だった。アンティは1から始まる。彼は、メリガスターが不正な利益のために貴族たちを操っていたいくつかの方法を、合理的かつ事実に基づいて説明する。 これに対してメリガスターは、貴族たちの誇りと名誉に感情的な訴えを行い、アンティを2に引き上げる。28を出して成功することで(感情的な訴えで論理に対抗することによるボーナスを含む)、事実から話題を逸らすことに成功した。 レムは論議の継続を決め、アンティを3に引き上げる。彼は美辞麗句を用いてメリガスターのいかさまを暴こうとしたが、ダイス目が振るわず最初の結果は18だった。彼はサークレット・オヴ・パースウェイジョンから得た優勢を消費して再ロールし、その結果は30。なんとかメリガスターに対抗するのに十分な値となった。 メリガスターは30という値に勝つのは難しいことを理解している。アンティを4に上げることを決め、作戦にお世辞を使用して貴族を賛美する。貴族はそれに正の偏見を持ち、そこに先入観を植え付けたことから優勢を得ている。お世辞の関連技能から〈はったり〉を使うことにしたため、彼は見事な嘘クラス特徴からさらに優勢を得た。メリガスターはこの2つの優勢を両方とも使用しなければならなかったが、3回目のロールは出目20であり、結果は36となったので、レムに対抗できた。 レムはその結果に勝利するのは難しいだろうと理解している。そして、論議に敗亡するだろうことも。しかし、どうやって敗北するかを決めなければならない。メリガスターはお世辞を使ったため、レムが負けた時にアンティは2減少し、メリガスターは優勢を1つ得る。つまり、レムは単純に論議を終了するか、メリガスターに優勢を2つ与えて決断力を2ポイント失うか、あるいはアンティを5に上げて技能判定を試み、失敗した場合には(メリガスターの兄のお世辞のおかげで)決断力を3ポイント失うがメリガスターが得る優勢を1つに抑えるかを決定しなければならない。結局、レムの決断力は8しかないため、3ポイントを一度に失う危険は冒せないと考えている。彼は強く落胆しながらも、メリガスターとの論議を終了させる。 現在、レムは決断力を6だけ残している。彼はメリガスターとの新たな論議の口火を切り再挑戦できる。少なくとも、メリガスターは以降に使用するお世辞で-2のペナルティを受けるので、レムがさらに36の結果で敗北する心配はない。
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編集を押すと内容の編集が行われます。 更新した内容は三国志12関連に反映されます。 三国志12 編集 タイトル Part1 最新 リスト 備考 編集 英雄集結で劉備さんちをゆっくり実況 その1 その26 リスト 完結 編集 英雄乱舞 博麗神社復興の戦いPK 1話前編 6話 リスト 編集 紅魔郷シナリオ 難易度Lunaticでプレイ part1 part7 リスト ゆっくり実況 ↑同一作者 編集 三國志12ゆっくり実況 パート1 パート8 リスト 編集 小覇王乱舞 第1話前半 第4話後半 リスト 編集 完結 編集 タイトル Part1 最新 リスト 備考 編集 劉備で官渡の戦い 1話 最終話 リスト 他:英雄乱舞 博麗神社復興の戦い等 編集 曹操で覇王袁紹 1話 最終話 リスト 他:英雄乱舞 博麗神社復興の戦い等 編集 劉禅の英雄乱舞 1話 最終話 リスト 編集 三国志12 英雄乱舞 暗黒物語 1話 4話 リスト ↑同一作者 編集 英雄乱舞 博麗神社復興の戦い 0話 10話 リスト 編集 孫策で群雄割拠る 1 4 リスト 作者:朱里 編集 関羽を兄者と呼びたい実況 part1 part12 リスト 編集 対戦版 編集 タイトル Part1 最新 リスト 備考 編集 三国志大戦ユーザー向け 1 4 リスト クローズドβテスト版 編集 三国志12βテスト 動画 - - 編集 呂布様の三国志12対戦版 第一回 第三回 リスト 編集 義勇兵の三国志12対戦版 その1 その6 編集 饅頭軍記物語 1 2 - ゆっくり実況 編集 劉備と徐庶のオンライン対戦 一戦目 四戦目 リスト 他:劉備で官渡の戦い等 編集 公孫瓚のオンライン対戦 一戦目 二戦目 編集 単発・非プレイ動画 編集 『三國志12』 プロモーション動画 動画 - - 公式 編集 三国志12対戦版β武将まとめ 動画 追加 リスト 編集 三国志12 顔当てクイズ 動画 - - 編集 三国志12体験版サウンドトラック 動画 - - 編集 三国志12でまったり遊んでみたりな夏侯覇転生 前編 後編 リスト 他:無名三国志(三国志11) 編集 更新停止・削除 編集 タイトル Part1 最新 リスト 備考 編集 ゆるい縛りプレイ Part1 Part8 リスト 更新停止(2012/6/28) 編集 高祖で英雄集結 part1 最終回 リスト 投稿者削除 編集 項羽で信長転生 part1 part2 リスト 投稿者削除前作:高祖で英雄集結 編集 馬騰で反董卓連合 1話目 12話目 リスト 投稿者削除 編集
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1さん乙っす。基本の基本を加筆しておきますた。 -- 名無しさん (2009-09-23 12 03 21) お疲れ様です。冷静が憤怒中に足場を崩された場合について書いておきました。 -- 名無しさん (2009-09-24 00 10 26) 追記ありがとうございます。現在ある以外に必要な見出しは何かありますかね? -- 書いた人 (2009-09-24 20 20 40) んーまあそこらへんは、必要なら勝手に誰か改造すると思うから、あんまり気にしなくていいと思いますよー。まったりまったり。 -- 名無しさん (2009-09-25 10 37 25) 舌戦終了時に「さらに追い込む」「情けをかける」が選択できる場合とそのまま終了する場合がありますが、その条件は分かっているのですか? -- 名無しさん (2009-10-02 10 18 47) その条件もよくわかっておりません。該当する選択肢が出た際は選択にかかわらず負けた側が怪我しますので、未調査情報の一番上の項目が該当しているのですが解りづらかったでしょうか? -- 書いた人 (2009-10-02 21 00 46) 更に追い込むと情けをかけるのがどう違うのかいまだにわからんおいらw -- 名無しさん (2009-10-04 11 06 10) 相手の残りゲージが少ない時に、あえて【話題札3】や【大喝】を使って余分に大ダメージを与えると、「さらに追い込む/情けをかける」の選択肢が出るンだお。 -- 名無しさん (2009-10-04 13 11 22) 「さらに追い込む」=勝ったキャラが得をする→負けた相手をケガさせる+勝ったキャラ自身にボーナス経験値が入る。 -- 名無しさん (2009-10-04 13 13 13) 「情けをかける」=勢力全体のためになる→勝った勢力にボーナス技巧値が入る。負けた相手は無傷で済む。 -- 名無しさん (2009-10-04 13 14 12) 論戦を挑み、相手の軍師にケガを負わせた上で【停戦】して安全確保→軍師が回復しない内に、その勢力や周囲の勢力に【流言】をかけまくり→嫌な勢力の周囲を紛争地域化して高みの見物→武器や兵糧を消耗した頃を見計らって停戦切れor同盟破りで進軍・・・わりとウマー -- 名無しさん (2009-10-04 13 18 02) 話題札を持ってないのに小心が憤激するとダメージをあたえられずに終わります -- 名無しさん (2009-10-08 10 20 50) 文章中に出てくる「話題札大」というのは話題札3のことかな?PS2では321だけどPCだと大中小なの? -- 名無しさん (2009-10-08 10 22 15) 相手にとどめをさす際に相当量オーバーキルすると情けor追い討ちの選択肢が出る -- 名無しさん (2009-10-08 10 23 37) >相手の残りゲージが… 確認いたしました。多忙のため返信遅れました。すみません。追記しておきます -- 書いた人 (2009-10-24 19 09 39) >文章中に出てくる… PC版では確かに大中小です。PS2版では321になっているというのは初耳でした -- 書いた人 (2009-10-24 19 11 50) ↑「明らかに勝てる札があっても毎ターン再考する」というのは普通なんでしょうか??私の経験則だとCPU側の性格冷静が憤怒状態のときは確かに原則毎ターン再考してきますが、大話術札があるときは迷わずそれを切ってくる気がするんですが…(逆にそのおかげで「あ、こいつ大出しやがったな」っていうのが読めて助かった、ってこともしばしばでしたし) -- 名無しさん (2009-11-06 12 14 56) >私の経験則だと… 私の説明不足でした。追記しておきます。私が言いたかったのは、性格冷静の相手が憤怒しているとき、例えばこちらが非話題札を出したとき、相手が手札にある話題札の小、中を出せば勝てるのにもかかわらず再考して札を捨ててしまう、ということが度々あったということです -- 書いた人 (2009-11-08 10 02 22) 書物持ち知力81のトウ芝で、話術4/5は見た事が。全部話術になるか試したが、話題札1じゃどうしようもなく揃う前に敗北。 -- 名無しさん (2009-12-17 18 48 56) 在野武将発見時の舌戦は、発生条件は決まっているのかな?体験上、ロシュク(呉)やチョウロだと、必ず舌戦に持ち込めるので、魅力の数値がキモ? -- 名無しさん (2010-01-14 15 07 21) シナリオ2の劉備でも、即時登録できなかった武将は、すべて舌戦に持ち込めたと思います。でも関羽やじゅんいくでは失敗しました。 -- 名無しさん (2010-01-18 12 42 48) 今作ってくれてる武将データに【得意話題】ってあるが、何なの? -- 名無しさん (2010-01-20 04 08 50) 「情けをかける」→「負けた相手は無傷で済む。」と書いている人がいるけど、それPC?PS?PKは?バージョンは? 具体的にボーナス技巧ポイントいくつ手に入るの? それはコマンドに成功したことによるポイントとは別で計算した上での話? -- 名無しさん (2010-01-20 16 47 54) 孔明、「知力100」vs知力6のやつで舌戦したら一撃にならなかった・・・・・。 -- 名無しさん (2010-03-15 19 40 53) 技巧は普通に勝つと15p情けをかけると40p。微妙なトコだが、小心でブチ切れるとオーバーキルし易いので、小心の論客が居るなら狙って稼ぐ事も一応出来る。 -- 名無しさん (2010-03-15 21 23 47) PCPKで試したが↑のようにはならなかった。PCかCSかぐらい書こうぜ。 -- 名無しさん (2010-03-21 16 15 26) ↑試したのなら、クレームだけでなく詳しい結果も書いて欲しい。単に機種によって違うのかもしれないが、例えば相手との知力差でpが変わったりする可能性も有る。↑↑の結果だと大してpは増えない=追い込んで相手を負傷弱体させ経験値を多く得た方が得だが、p100くらいもらえる場合が有るなら、狙ってやる価値が出てくるかもしれない。 -- 名無しさん (2010-03-21 17 13 07) 普通に考えて100pとかありえんww -- 名無しさん (2010-03-23 03 38 56) 普通に考えて↑2は単なる一例だろうに -- 名無しさん (2010-03-23 03 56 02) 武力100と武力53の武将と一騎討ちをすると武力100のほうが最初のつばぜり合いで一撃で倒せるんだ -- 神 (2010-04-09 16 31 16) 舌戦で -- 紙 (2010-04-14 16 54 55) ↑? -- 名無しさん (2010-04-14 20 56 45) 引き分けで同ターンに憤怒した時、自分→敵の順で処理が行われるらしく、敵の逆上を喰らって参ったw しょりの順番はランダムの可能性もあるから、現時点ではいち情報、要確認ってことで。 -- 名無しさん (2010-04-30 02 22 33) 在野発見時の舌戦発生は、君主や軍師だとかなり高い。その他の判定は恐らく魅力だが、眼力持ちのジュンイクで舌戦になる確率はそれ程高く無い様に思える。眼力効果で発見した場合は発生しないのかもしれない。 -- 名無しさん (2010-04-30 07 48 33) ↑↑ 同ターンで憤怒したら、先攻→後攻の順で処理されたはず・・・。(PCPK) -- 名無しさん (2010-04-30 13 23 41) なるほど、その時によるのね。ありがとう。 -- 名無しさん (2010-04-30 15 12 43) どうでもいいが、知力100、小心という論客武将をエディタで作ってみたら、ほとんど無敵だったw 一度怒ったら最後、相手が軍師クラスでも半分くらいは余裕で持って行く。おそろしや。 -- 名無しさん (2010-05-10 13 58 56) 名無しさん (2010-04-30 13 23 41) この条件、未だにほぼ謎だよね。わかったらかなり有益な情報なんだけど・・・。とはいえ、セーブロードなしだと、劉備位、ほぼ100%発生武将じゃないと、しくじった際のリスク(3~4ヶ月登用不可)で、大体月またぎで消える)がでかいしねぇ。 -- 名無しさん (2010-05-18 12 21 27) 論客集結って札の出るパターン決まってる気がする… -- 名無しさん (2010-05-19 22 20 02) 五丈原の戦いはPS2版だと必ず司馬懿一喝終了の気がする。5回ぐらいパターンを変えてみたが、全部一撃だ・・・。 -- 名無しさん (2010-05-19 23 48 03) PS2PKではそんなことなかったな -- 名無しさん (2010-05-20 17 35 51) 知力90、小心、話術札は逆上のみ、という論客は無敵。 -- 名無しさん (2010-06-13 19 52 44) PS2版にて。舌戦勝利=通常15Pですが、情けをかけるとさらに60P追加されて計75P増えるようです。 -- 名無しさん (2010-06-21 09 09 37) 冷静もそこまで雑魚じゃないと思うおれは異端? -- 名無しさん (2010-06-22 17 45 25) ↑冷静は、再考の内容に左右される点がありますから…低知力の冷静は、確かに決定打に欠けます。 -- 名無しさん (2010-06-22 22 25 07) 冷静は詭弁や大喝が使えるなら比較的有用だと考えています…軍師級では冷静>剛胆、それより下では冷静<剛胆といったところでしょうか -- まとめ書いた人 (2010-06-22 22 37 23) 冷静は結局全種類の話術が使えないと苦しい。小心だとむしろ逆上・無視以外の話術がないほうが怒った時の破壊力が大きくて大物食いができることが多い気がする。あれこれ編集してみてそう思う。 -- 名無しさん (2010-06-23 02 41 52) さすがに冷静>剛胆はないかな。冷静≦剛胆くらいじゃないかと。小さな差異はいくつかあるが、一番大きいのは憤怒後の話題決定権が冷静にはなくて剛胆にはあることだと思う。 -- 名無しさん (2010-06-23 03 16 22) たとえばの話ですが、孔明がやたら強いのは札の引き方に手心が加えてあるからではないかと思ったりする。詭弁と沈静の決まり方が絶妙すぎるんだよねw2枚が話題札大で残りが全部話術というのも見た。これでは何を出してもこちら側に勝ちがない。 -- 名無しさん (2010-06-23 04 47 40) 孔明に限った事じゃないが、知力が差が有ると高い方に強い札が来やすい傾向はありそう。格上とやると再考してもいないのに大喝連発とかよくされるし -- 名無しさん (2010-06-23 08 23 30) >さすがに… ただ剛胆は相手の大喝への対抗策が一切なくなる、再考が利かない、わざと負けられないなどの冷静にはない弱点もあります。期待できる火力では冷静≧剛胆ですが、冷静は当たり外れが激しすぎるんですよね… -- まとめ書いた人 (2010-07-15 16 44 04) (続き)それに比べ剛胆は敵の話術の光り方を見ながらかなり安定したダメージを与えられるところが評価できます。ただ「どちらが使えるか」の談義は相手や状況によるのでかなり厳しいと思われます(先に示しておいてなんですが) -- まとめ書いた人 (2010-07-15 16 51 18) PS2PKにて、編集で張飛と呂布を知力100の「論客」にして -- 名無しさん (2010-07-17 00 04 06) 途中で送信してしまいました。PS2PKにて、編集で張飛と呂布を知力100の「論客」にして遊んでたら面白い発見をしました。どうやら猪突の憤激時のダメージは武力に比例するようです。他の武将でも試してみたらそうなりました。PC版の方もお試し下されば幸いです。 -- すみません (2010-07-17 00 08 41) ↑自分もPS2PKで試したけど、特技論客にした張飛と、猪突孫乾、猪突知力100簡ようで試したが違いはわからず、張飛の知力を100にしたら何となく減った気はした。でも、変わっていても微々たる物だから狙う程の物でも無いし、武力高い武将を論客にするのはねえ…。 -- 名無しさん (2010-07-17 04 32 44) 剛胆の最大の長所は、知力が低くてもあまり強さが変わらない=格上に対して勝ちやすい点だと思う。簡ヨウとか(一撃でやられなければ)曹操の軍師軍団にも勝ち目は有るし、逆に敵に回すとどんなに知力差があっても気が抜けない。育成も特技変更も無い初期状態なら、冷静より剛胆に分があると言えるのでは? -- 名無しさん (2010-07-17 05 31 31) その武将固有の手札の種類にもよるけど、4枚以下の冷静はよほど引きに恵まれないと勝てない。一方小心や剛胆は種類にかかわらずある程度のダメージが与えられる点が有利。諸葛亮も張昭には勝てないこともしばしばあるしね。 -- 名無しさん (2010-07-17 08 17 31) 3レス前の人は、せっかく新しい情報を提供してくれたのにいちいちそれを否定しなくてもいいんじゃない?実用性に乏しくても客観的なデータなんだからさ。 -- 名無しさん (2010-07-17 15 30 02) 猪突については知力か武力のどっちか高い方に準拠してるんじゃないかな?今、実験中なんだけどバーに目盛はないし、あんまり知力を低くすると一撃で倒されたりでうまくいってない。 -- 名無しさん (2010-07-17 15 52 11) ↑5の後半は言わんでもいい(実用性のなさは↑6すら把握してるはず)ことだが、ちゃんと実験して否定してるんだから有意義だろ。その結果を無視して↑6を「客観的」と言っちゃいかん。↑5も↑6も自分がそう思ったってだけだから主観的だ。 -- 名無しさん (2010-07-17 15 58 00) ↑6だが、否定してるつもりはないのだが、バーが半分くらいかっとんで小心の対抗馬になるか!?くらい期待して試したから落胆したと言うのが正しいかな……。てか、他の人も試してもらいたいのだが……。あのバーって、見た目的に減ってく割合一定じゃなくない? -- 名無しさん (2010-07-17 18 48 01) ↑8です、もう一度検証してみたら武力1で20%、武力100で30%という結果がでました。相手との知力の差は関係が無く、完全に武力のみの影響のようです。最初に40%も減る!!と誇張して書いてしまい混乱を招いてしまいました、あらためてお詫びします。 -- これまたすみません (2010-07-19 20 26 04) 本当に微々たる差なんだねwとにかく検証ありがとう。 -- 名無しさん (2010-09-02 23 20 52) 在野発見時に舌戦になる条件は探索をする武将が君主と相性近くて魅力が70以上の場合 -- 名無しさん (2010-10-06 22 53 19) ちょっと尋ねてもいいですか?在野発見時に、「登用を試みますか?」「いいえ」としさえすれば、登用失敗→ふんぎゃー!ということもなく安心だと思うのですが、皆さんどうしてますか?禁止フラグが立つより1-2ヶ月待ってみる方がマシだと思うんですけど、まさか無理矢理舌戦に持ち込まれるわけでもありますまい。向こうから持ち込まれたことが未だ無いもので・・・ -- 名無しさん (2010-10-06 23 17 34) 孫劉同盟で諸葛亮と戦うのは君主 -- 名無しさん (2010-10-15 13 18 45) 情報提供ありがとうございます。反映しました。 -- (記事書いた人) 2010-10-16 16 00 08 失敗すると在野になって別の都市に逃げられる可能性があるので、セーブしておいて失敗したらロードとかしないなら発見即登用はしない方が無難。と、もうどっかに書いてあったと思われる。 -- (名無しさん) 2010-10-17 00 38 47 敵が詭弁出した時に鎮静出したら、跳ね返されてこっちの怒りゲージが下がってもうた。 -- (名無しさん) 2011-03-07 23 24 25 S9 呂布討伐戦 劉備プレイ 柴桑において魯粛で大喬を在野発見したが舌戦にならなかったのを確認 -- (名無しさん) 2011-04-26 13 28 43 舌戦にならずに登用失敗ってことですか?PS2とCS版どっちですか?僕もS9は、張繍や袁術での本拠移転プレイで、魯粛GET→2喬登用は経験あるけど、舌戦にならないか、登用に成功した記憶しかないなぁ。ちなみに小喬で大喬を登用したら、舌戦が発生して負けて萎えたことはあった。親愛だから確実に成功すると思っていたので。 -- (名無しさん) 2011-04-26 15 17 26 ↑舌戦にならない時は、一発登用成功した の間違いでした。 -- (名無しさん) 2011-04-26 15 18 13 体感的に無印とPKで探索時の舌戦発生確率が違う気はする。 PKだと知・政・魅の能力が高く君主や軍師だと100%近い高確率で起きる感じ。 曹操、ジュンイク、月英(君主)、孔明あたりでも1プレイ中は必ず舌戦になったのを記憶している。 ただ、だから100%と書くのは色々語弊がありそう。 例えば、月英はヒラだと起きない事もあるし、魯粛とかは能力を編集して下げても100%なのだろうか? そこまで検証していないなら、100%ではなく高確率にとどめておいた方がいいと思う。 -- (名無しさん) 2011-04-26 17 53 19 そもそも「劉備、魯粛、張魯は100%舌戦に持ち込める」ってのは、何を根拠にした情報なの? -- (名無しさん) 2011-04-26 18 33 15 PS2PK S9 呂布討伐戦 劉表プレイ 魯粛で探索 大喬・小喬ともに発見時舌戦にならず登用失敗 -- (名無しさん) 2011-04-27 01 02 49 舌戦発生確率は知・政・魅のほかに君主と探索武将の相性も関係あると思われます -- (名無しさん) 2011-04-27 01 06 11 PS2PK S9 呂布討伐戦 劉備プレイ 編集で糜氏内助消去・劉備特技眼力にした状態 劉備(知・政ともに1に編集)で陳到発見時舌戦発生○ 劉備(魅57に編集)で陳到発見時舌戦発生× 劉備(魅58に編集)で陳到発見時舌戦発生○ 劉備(知・政1、魅58に編集)で陳到発見時舌戦発生○ よって舌戦発生確率は知・政よりも魅力に関係あり -- (名無しさん) 2011-04-27 01 40 40 ↑のシチュで発見武将魏延の場合 劉備の魅力のラインが1下がる -- (名無しさん) 2011-04-27 01 51 58 「能力を編集して下げても100%なのだろうか?」この点は盲点でした。見えるマスクデータ上だと、舌戦発生確率の優遇 に繋がる項目がなく不思議でした。「舌戦発生確率は知・政・魅のほかに君主と探索武将の相性も関係ある」については同意ですが、私も相当数の(CS版)検証はやった上で書いたんですよ。例えばCS版190年 1月 反董卓連合 で空白地をどんどん占領して、捜索は劉備でしかやらない場合でも、許昌や呉付近も含め必ず舌戦か登用成功にしかならなかったです。ちなみにジュンイクは高魅力ですが発生しない事は多々ありました。他2人も同様で、捜索はこの武将でしか行わないプレイで検証した結果で判断したものです。編集はしない主義なので、あくまで初期能力~自然増加での前提です 。ともかく魅力を編集で下げて~については検証不足でしたので出直してきます。皆さんごめんなさい。 -- (名無しさん) 2011-04-28 12 30 27 「知力が50を下回っていると攻撃時の台詞が変わる。」と書いていますが知力9と知力33の舌戦が発生したときセリフが変わったのは知力9の方だけでした。(PCPK版) セリフ変更には双方の知力も影響するのかもしれません。 -- (名無しさん) 2011-06-18 16 04 39 冷静の武将(プレイヤー)で小心の武将(CPU)と舌戦していた時、小心の武将が憤激した後、冷静の武将が 逆上を発動させて、小心の武将の連続攻撃をキャンセルさせたんですが、これは相手が猪突でもそうですか? -- (名無しさん) 2011-07-28 02 16 34 ↑このページの話術の説明をよく読め -- (名無しさん) 2011-07-28 02 26 31 先に憤怒してしまい相手が逆上、こちらの逆上が腐る、という事態だけは絶対回避すべき。 これを見落としていましたか・・・orz ↑ありがとうございます。 -- (名無しさん) 2011-07-28 02 51 22 ↑いや、それ以前に >鎮静 手元にあれば、相手が憤怒したときに自動で発動し、相手の怒りゲージを自動的に25%程度減少させる。 >逆上 相手が憤怒したとき、手元にあれば自動で発動し、相手の怒りゲージを最大値の50%減少させ、こちらが憤怒する。 ここら辺読めばわかるだろ -- (名無しさん) 2011-07-28 12 00 02 今更ですが、CPU側の手札枚数は知力換算プラス1枚です。知力70未満でも4枚、郭嘉は7枚持ってました。プレイヤーは知力換算通りです。PS2PK初級モード。 -- (名無しさん) 2011-10-01 11 40 09 結局のところ、上記のコツを踏まえても勝率がある程度増す程度で、最終的に勝敗を決めるのはやはり運だと思う。 基本を踏まえるのは大前提だが、運が良ければこちらより高知力の相手にも勝てるが、悪ければ低知力の奴にも負ける。 どこかで見た9割方は行き過ぎにしても、半分以上は運が絡むような気がする。 一騎打ちにも言えるが、今作の舌戦はどうも運要素が強すぎる。 -- (名無しさん) 2011-11-09 14 19 08 話術札の持てる最大数はおそらく札の持てる枚数-1枚だと思います。(6枚持ちで5枚話術札が来たことを確認)絶対に手持ちすべてが話術札ということはないようです。 -- (名無しさん) 2011-12-30 14 21 14 細かい事かもしれませんが、話術札のフォントの色設定が、白地にこれでは結構見にくいです。 もう少々暗めにした方がよいのでは・・・。 -- (名無しさん) 2012-02-29 12 06 28 ↑3 散々言われてる事だが、そういう言い方は全く語弊があり過ぎる 優劣に運が絡むのは当然だがそれは勝敗ではないし、「運ゲー」だと言い出す人間ほど弱い・勝てない 手札運が悪くても冷静な選択で、勝ちをもぎ取る事はいくらでも出来るのに、知識とテクニックを軽視する発想はいただけない -- (名無しさん) 2012-11-17 04 51 55 大喝で与えるダメージ量は統率か武力かに比例?話題札中よりもダメージが小さいことがある。 -- (名無しさん) 2012-12-29 00 05 45 武力はないでしょ 孔明とかでもちゃんとそれなりのダメージ出るし -- (名無しさん) 2012-12-29 00 33 12 かつて、話術札を全て使える武将の一覧が記載されていたはずなのですが見当たりません。 どなたかご存知ありませんか? -- (名無しさん) 2013-03-30 05 41 54 ↑小ネタのページに書いてある。 -- (名無しさん) 2013-03-30 09 05 21 ↑ありがとうございましたm(__)m -- (名無しさん) 2013-03-30 10 06 33 PKのS1で、知力差11で舌戦に入らずに勝負がつきました。 -- (孫権もどき) 2014-12-17 19 05 42 なんでも運ゲーと断じるのは嫌いだが、不利をリカバる手段が再考しかないのは仕様として致命的だったと思う。結果、知力のアドバンテージはなく非話題の小札のみという状況もよくある。これをリカバる手段はないのだから運ゲーと言われても仕方ない。ま、博打ですよ。 -- (名無しさん) 2015-03-31 17 27 08 自武将が勝てば、たまたま手札が良かった、運が良かったと思うし、 敵武将が勝てば、自分の実力がなかったからと次に励む。 それがゲームでなくても当方はそう思うが。 -- (名無しさん) 2017-02-14 22 23 03 一騎打ちはアイテムやら副将やら、手を加える余地があるけど 舌戦は書物と知力(評定で乱数ずらし)しかないのがな。 無双や急所みたいに負傷狙いもできないし。 -- (名無しさん) 2017-03-25 00 37 02 システムとしては全然悪くないと思う。 勿体ないのは、知力の差が「手札の数」しか感じられないというところ。 知力80と89だと確かにダメージ差があるのだが、手札の数が同じなので 使ってみるとそれほど違いを感じない。 でも89と90だと、知力1しか差がなくても手札の数で大きな優劣がある。 この理不尽さが残念な点だと思う。 -- (名無しさん) 2017-12-13 17 20 21 ただの運ゲーだよね、これ。異論は認めない。 -- (名無しさん) 2018-05-20 13 57 50 麻雀と同程度には技術的要素あんじゃん。カードゲームなんだからさ。 もし同条件下でオンライン対戦1000本勝負を行えば、必ず有意差が出るレベル。 -- (名無しさん) 2018-07-29 23 11 58 技術的要素あんじゃん その技術的要素がマージャンとは比較にならないほど小さいから、結局は運ゲーと言われても仕方がない。 -- (名無しさん) 2022-05-02 18 37 23
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東方キャラ含む三国志で何故かいつも大活躍の憎いあんちくしょうです -- おいたしちゃった☆ (2007-10-30 21 58 56) 三国志SLGでⅨとⅩには「チルノ補正」なる言葉が出来た。さて、信長の野望と三国志11ではどうだろうか。 -- 名も無き程度の能力 (2007-11-01 00 32 43) 結局の信長では何の異常も無かったが?三国志11ではカリスマ氷帝とまで言われる身分になってしまった・・・ -- 名無しさん (2009-03-25 14 18 32) 名前 コメント
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舌戦 ◆QkyDCV.pEw 読むよう促されてみた名簿の内容に、金木研は思わず眩暈を起こしそうなぐらい驚いた。 まず、霧島董香、月山習の二人の名前がある事。二人共、今のカネキにとっては大切な人だ。 それが、カネキ同様殺し合いに巻き込まれていると聞いては、流石に平静ではいられない。 また、極めて簡素な文字が三つ、ヤ、と、モ、と、リ、が並んだ名前があった。ありえない。 思い出すのもおぞましい、カネキの髪が真っ白なのは全部コイツから受けた拷問のせいだ。 それでも、カネキは一度ヤモリを倒しその肉を食らっているし、その後ヤモリは誰かに完全に殺されたと聞いた。 おそらく同名の別人であろう。だが、気分は最悪だ。 鬱陶しくない程度の距離で、アインズがカネキに声をかけてきた。 「知人が、居たのか?」 「はい。大切な、人達です」 「……そうか、私もだよ」 しばし無言。 気を取り直してアインズが言う。 「なあ、カネキ君。君が言うところのグールというものを、もっと良く教えてはもらえないか? もしかしたら、君以外のグールがここに来ているかもしれないしな」 僅かに間をあけてからカネキは答える。 「……はい。もしよければ、その、アインズさんの方のお話も聞いても良いですか? 僕も、こう、悪い意味ではなく、アインズさんのような方は始めて見ましたので……」 アインズは鼻を鳴らす。多分、笑ったのだろうとカネキは思った。 「それはそうだな。おい、胡桃にアクア。お前達も聞きなさい、情報の共有は確実にこなしておかなければならない事だぞ」 胡桃ははーいと素直にお返事、アクアは表情で文句を言いつつも口では無言を通す。 一番最初にしたアインズの話は、胡桃ははじめから聞いていた為驚きは無かったが、カネキはもうどんな顔をしていいのかわからぬ有様であった。 アクアは興味が無いのか、あっそ、で済ませていたが。 次は私ー、と強く主張したアクアは、自分が如何に素晴らしい女神かを延々語っているだけなので、三人はそのほとんどをスルー。 ちょうどいい、とアインズはアクアに色々と所持スキルの事とかを聞こうと試みたのだが、アクアはアインズが声をかけようという気配を見せただけで睨みつけて来るので、アインズはコレから情報を引き出すのはもう少し慣れてからだ、と嘆息し諦めた。 次は胡桃だ。悲壮感漂うゾンビパンデミックな話であったのだが、アクアが平然とした顔で「そんなの魔法で治せばいいじゃない」とか抜かしたので、胡桃がマジギレして襟首掴み上げたのは、まあ余談である。 ちなみにその時は、必死にアインズが取り無し事無きを得た。 「……アクア。お前はもう少し他人の気持ちというものを考えた方がいいぞ」 「か、考えてるわよ、うるさいわねぇ。で、でもでも、その、もし、胡桃がそうなったら、私が治してあげれると思うし……」 うむ、と頷くアインズ。 「その時は頼りにさせてもらおう。もちろん、カネキ君にもそうしてくれるのだろう?」 「ん? いいわよそのぐらいなら別に。カネキってあの黒いのとケンカするぐらい強いし、その分戦ってくれるんでしょ?」 「そこは女神設定に従って、善意と好意だけで治してやれ」 「設定って何よおおおおおお! 私は本当に女神なんだってば!」 「疑ってはいないさ。お前の人並み外れた能力の高さは我が身をもって体感しているからな」 「そ、そう? ま、まあそういう事なら、いいんだけど……」 そして、最後になったカネキの話だ。 カネキは随分と悩んでいたが、グールの情報を共有しないのは、もしこの地にカネキの知らぬ凶悪なグールが来ていた場合、この集団にとって致命的な事になりかねないと考え、腹をくくって話す事にした。 アクアは、もうカネキの前だろうと全然全く欠片の容赦も無く、ドン引いた顔を見せた挙句、カネキの側からじりじりと離れていった。 胡桃は、驚きはしたが、カネキがそれでも人を殺さずどうにか生きていこうとしている努力を、理解しようとしていた。 彼女は現代に生きる女子高生であるが、死体が周囲を闊歩するなんて非日常を過ごしすぎたせいか、人死に慣れてしまっている部分もあるのだろう。 そしてアインズはというと、こちらはもう全く動じていなかった。むしろ、そうか、それならばわかる、と妙に納得顔である。 挙句こんな事を言い出した。 「なあ、時にカネキ君。今君は腹が減ってはいないか?」 自分は人を食うグールだとカネキが言った直後に聞いていい事ではなかろう。 アクアは物凄い勢いで目をむいているし、胡桃もまた同じように何聞いてんだー、的なツッコミを表情だけでしていた。 「あ、いや、グールは基本、人間みたいに毎日とか食べなくても全然平気なんで。一月弱ぐらいなら、まあ食べなくても平気かなって」 「……そうか」 その口調が、あまりといえばあまりなものなので、胡桃が耐え切れずつっこむ。 「いやアインズさん! 何でそこでがっかりトーンなんですか!?」 「ん? いやな、実は私はカネキ君の食糧問題解決に一つ良いアイディアを持っていてな。カネキ君は人間を食べたくないという、なら私が人間に代わるものを用意してやれるのではないかな、と」 驚いた顔でカネキが問い返す。 「そんな事出来るんですか?」 「うむ。味の保障は全く出来ないが、再生能力を持つアンデッドを私は作り出す事が出来る。ああ、もちろん、アンデッドと言っても腐っているわけではないぞ、腐っているアンデッドも居るには居るが、そんなもの食べたくもないだろうから、新鮮な肉が再生能力で常に手に入り続けるよう……」 そこにアクアが割ってはいる。 「ちょ、ちょ、ちょ、ちょおおおおおおおっと待ちなさいよ! アンタ一体それ何するつもりなのよ!? 死者ってのはね、きちんと葬ってあげないと駄目なのよ!」 無茶苦茶珍しく聖職者らしいことを言うアクアであるが、アインズは意外そうだ。 「もちろん、身元のはっきりとした遺体はそれでいいだろう。だが、世界には犯罪者だの浮浪者だの行き倒れだのといった死体は数多い。カネキ君のようなグール達の為に、そういった遺体を活用するのはむしろ供養になるのではないのか?」 「なーーーーーるわけないでしょうが! 何処の世界に自分の死後アンデッドになった挙句他人に食われたい馬鹿がいるのよ!」 「それはおかしい。人間は狩猟で得た獣の遺体を、無駄なく利用する事で狩った獣達への敬意を表わすのだろう? なら、カネキ君もそうすればよろしい。感情的に納得しがたい部分があるのも理解しているからこそ、そこにも一定の配慮をしようと言っているのではないか。それともお前は、カネキ君達はそれがどんな善良な存在であっても、その全て悉く打ち滅ぼすべしとでも言うつもりか?」 むぐぅ、とあっさり押し黙るアクア。アインズは自分で言ってて良いアイディアと思ったか、かなり上機嫌で言葉を続ける。 「いずれグール達は皆食糧確保には難儀しているのだろう? なら、この地に来ている他のグール達にとっても今私が言った話は魅力ある提案になると思うし、それは彼等の協力を取り付ける為の優れたカードに成り得ると思うのだが。どうだろうかカネキ君」 「そ、それが本当に出来るんなら、みんなすごく喜んでくれると思います。……ごめんなさい、半信半疑、でもありますけど……本当にそう出来るんなら、僕も何か協力したいです」 「ははは、正直だな。だが、それも道理だ。……ならば」 と言った所で、すっごく微妙な顔になっている胡桃を見やるアインズ。 「やはり、こういった事には抵抗があるか?」 胡桃は、正直に心境を語る。 「……うん、ごめん。カネキ君がすっごく苦労してるのも、それはカネキ君が悪いわけじゃない事もわかった。でも、やっぱり……ね」 ただ、それでも胡桃はカネキから距離を取ろうとはしない。 「私も、さ。ゾンビになっちゃった人達、毎日毎日スコップでさ、頭潰して回ってたんだ。みんな、元は人間なのもわかってる。でも、そうしないと、私達が危ないから、さ。そんな事しときながら、アインズさんの案は駄目とか、言っていい言葉じゃないとも思う。だからもし、アインズさんがそうするっていうんなら、私は否定しないし、それでカネキ君が助かるっていうんなら私も協力したいと思う」 アインズが続ける。 「と、理性では思っていると」 苦笑しながら胡桃。 「……もうっ。でも、そういう事かなぁ。どうしても、それ以外の手があるんなら、そっちで何とかならないかなぁって思っちゃうんだ」 今はそれでいい、とアインズは胡桃を責めるような事は言わなかった。 彼女なりに、受け入れようと努力してくれているのが見てとれたからだ。 不意に思いついたようにカネキは困った顔をする。 「どうした? カネキ君」 「ああ、その、仲間の一人はそれで問題ないんですけど……その、ここに来てるもう一人は随分、味に、うるさいんで……」 一瞬呆気に取られた顔のアインズは、すぐに愉快そうに破顔する。といっても骸骨顔では破顔もクソもあったものではないが。 「ハハハハハ、それは大変だ。ならばその彼にはアンデッドの品質改善に付き合ってもらうとしようか。研究を進めれば、きっと良い味のアンデッドも作り出せるようになるだろうからな」 「あー、それは、その、何というか……えっと、お手数おかけします? でいいのかな? うん、でもアインズさんのそういう所、多分彼と話し合いそうな気するなぁ」 男二人は和やかに談笑が続く。 そして女二人は、ひそひそ声で何やら話し合っている。 「ね、ねえクルミ。これ私の気のせいならいいんだけど、もしかして私達、ものっすごい禍々しい話を口八丁で納得させられそーになってない? ねえねえ、大丈夫かな?」 「うーん、うん? うーん、うーん? うーむー」 「唸ってないで何か言ってよー! もう頼れるのクルミしか居ないんだからー!」 「そうは言ってもなあ、カネキ君が大変そうなのもわかるし……アインズさんならきっと上手い事考えてくれると……あー、でもあの人ちょっとズレてる所もあるしなぁ。うん、私もアインズさんにおかしな所あったらすぐに聞くようにしてみる」 「お願いよー、何でかしらないけどアイツ、クルミの言う事は聞くみたいだし」 「そんな事は無いよ。私が変な事言ったら絶対アインズさんは言いなりになったりしないで、キチンと訂正してくれると思うし」 ちなみにアインズの方も、対アクアでは全く同じ事を考えていたり。アクアは何故か胡桃の言う事はそれなりに聞くようであるし。 一行は、アインズの拠点でもあったナザリック地下大墳墓へ行こうというアインズの案に、特に反対はしなかった。 消極的賛成というやつで、皆仲間を見つけたいとは思っていても、何処に行けば合流出来るかなんてまるでわからなかったのだ。 例えば、カネキなら『あんていく』だったり、胡桃なら『巡ヶ丘学院』のような縁のある場所に行けば、という発想も無いではないが、それも近くに居れば程度でしかなく。 カネキがぼそっと呟いた言葉に、胡桃も頷きそちらを目指すのは止める事にしたのだ。 「実際、あんていくなりその近場になり隠れていてくれるんなら、しばらくは安全だと思うんだ。むしろ、探し回ってる場合の方が怖いよ」 地図に記された範囲は広い。ここに本気で隠れにかかったら、そう簡単には見つからないのではないか、というのはアインズ、カネキ、胡桃の三者の共通認識だ。 そして今カネキ達は、アインズに代表されるように大きな武力を備えている。 動いて探し回るのならば、このメンバーでそうするのがより良いだろうと思えるのだ。 じゃあ早速行こうか、となるのだが、アインズはその前にカネキの様子を確かめる。 彼には再生能力があり、鼻ピアスから負った傷は既に癒えているようだが、体力の消耗まで回復するとは言っていなかった。 「カネキ君。君はここに来てからずっと、あのバケモノと戦いづめだったのだろう? しばらく休息を取るべきだと私は思うのだが」 「え? いえ、でも動けない程ではありませんし……ただでさえ色々手間をおかけしてるのにこれ以上は……」 カネキの前に手の平をかざすアインズ。平というか、骨というかだが。 「いや、違うぞ、カネキ君。私はもう君は我等のチームメイトであるとの認識だ。ならばチームメイトが最良のパフォーマンスを発揮するのは、決して君だけに有利な話ではない。我々全体の利益になる事だ。だからそういった観点で、もう一度君に訊ねたい。カネキ君、我々は休息を取るべきではないかね?」 四人全体にとって、最も有益である判断を下すよう、アインズはカネキに告げたのだ。 「…………三十分下さい。それで体の再生はほぼ終わります。そうすれば、以後はまた全開で動けるようになります」 アインズの骸骨顔が変化を見せる。いいかげんこれがアインズの笑顔である、とカネキにも確信出来るようになってきた。 「それでいい。よしみんな、そこの喫茶店らしきものの中で少し休むとしようか」 ここでも胡桃は良いお返事で、はーいと返す。 そしてアクアはというと。 「あー、そうね。私結局あんまり眠れなかったし、そこの店にゆったりしたソファーがあれば……」 速攻アインズに突っ込まれる。 「おい、本格的に寝る気かお前は」 「えー! 駄目なのー!? だって今もう夜よー! 夜は寝ないとびぼーに悪いって聞いてるのよ私!」 胡桃がうわー、といった顔でカネキに訊ねる。 「ねえ、カネキ君。もし今ここでベッドに案内されて、はい寝てくださいー、とか言われて眠る自信ある?」 「ないっ。全く無いよっ。こんな危ない所に放り出されて平然と眠れるってどういう神経なんだろう。アクアさんって、この世に怖いものとか存在しないのかな」 「あー、自分が一番偉いから怖い目になんて遭わないとか本気で思ってそー。そんなアンタが一番こわいわ」 「……彼女の行動には特に注意しないと、だね。物凄い致命的な事平然とやらかしそうで……ああ、うん、やっぱり怖い、でいいんだねあの人」 「命懸けの自爆をいとも簡単にしでかしそうなのがねぇ……まさか見捨てるわけにもいかないし。はぁ、気が重いよ」 二人から見て、アクアはやっぱり足手まといでしかない模様。 その魔法能力の高さを認識してる分、彼女の評価が最も高いのが、アクアが一番嫌っているアインズだというのも皮肉な話である。 喫茶店の中に入ると、カネキが率先して店の中のコーヒーメーカーをいじりだす。 喫茶店でのアルバイト経験を活かしたコーヒーを出した所、胡桃にもアクアにも好評であった。 三人がコーヒーブレイクの間にアインズはふらっと店を出て、周辺を見て回る。 アンデッドは疲労しない、と言いアインズは極周辺の見回りを買って出たのだ。 すぐに戻る、と言っていたので皆はそれ以上は追及しなかった。 まだ集ってから大した時間もたっていないが、胡桃の、カネキの、信頼を得るだけの事をアインズはしてきていたせいだ。 そのアインズは、喫茶店からは死角になるよう角を曲がると、その先で待ち構えて居た人物を見て、歓喜しその側へと駆け寄っていった。 「デミウルゴス! 無事であったか!」 深く頭をたれ膝を突くデミウルゴスは、アインズが喫茶店へと入る前に、彼にのみ見える角度で自らの姿を見せておいたのだ。 「アインズ様、参上が遅れました事お詫びもうしあげます。此度の変事を察する事出来なかった件、階層守護者の一人として万死に値しますが……その前に、どうか一言だけ、お許し下さい。アインズ様、ご無事で、ご無事で何よりです……」 「顔を上げよデミウルゴス。今回の件、まだまるで裏が見えぬが、なればこそ、今は誰が悪いだのといった事を言っている場合ではない。今こそ、我等が結束し未だ不可視なる敵に備えねばなるまい」 「ははっ。アインズ様のおっしゃる事、まことごもっともにございます。なればこのデミウルゴス、我が身の全てを賭して此度の敵を、打ち滅ぼしてご覧に入れましょう」 「そうだ、それでよい。時にデミウルゴス、他の守護者達には出会ったか?」 「いえ、気配すら……」 「私の方もだ。この唾棄すべき催しが始まってからの時間と他者との遭遇率を考えれば、今ここでお前と出会えたのは僥倖であったのだろうな」 「はい、アインズ様は早速この地でも配下を従えていらっしゃるご様子で」 「随分と偶然にも助けられたがな。彼等は……」 アインズは胡桃とカネキの説明をデミウルゴスにしてやり、その上でここが異世界である事に言及する。 その時のデミウルゴスの反応の仕方から、アインズはふと思いついた事を口にしてみる。 「もしかして、お前も気付いていたか?」 「ははっ、実は私の方でも異世界を思わせる人物と遭遇しておりまして」 「おお、流石はデミウルゴス。何時もそうだが、お前は話が早くて助かる」 そして、とデミウルゴスの方でも遭遇した人物、マドとモウリランと豚に関しての説明を行う。 この時、デミウルゴスは恭しく奪った指輪『リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウン』をアインズへと差し出している。 これを下賎な者が手にしていたと聞いた時のアインズの怒りは、美影ユラがこれを持っていたのを見つけた時のデミウルゴスの怒りに匹敵するものであった。 これは二人共、この指輪の価値と危険さを正しく把握しているという事だ。 なので名前も知らぬ豚を殺した事も、アインズは咎めるどころか良くやったと褒めてやった程だ。 ただ、マドとモウリランなる者達から恨みを買ったかもしれない、という部分はよろしくなかった。 マドという人物が、アインズがカネキから聞いたグールなる存在の情報を持っていた事も、不利になる話であろう。 もしカネキとマドが友人同士であったなら、デミウルゴスを部下に持つアインズの立場が悪くなる。 だが、それを踏まえた上でも、アインズは言った。 「デミウルゴス。お前の話を聞く限りでは、そのマドという人物に対してもお前はお前に出来る限りの誠実さを持って対応したと私は考える。ならば、負い目に思う事もない。先方は我々を恨んでいるかもしれないが、カネキ君に対しても説得可能な範疇だと考えるぞ」 だから、デミウルゴスの事は皆に堂々と紹介するというのだ。 デミウルゴスはもちろん、アインズの言葉に否やなどはない。だが、デミウルゴスは影働きに徹する方が有効なのではないか、と疑問を口にする。 「そうだな、有利不利だけで言うのならばそうだ。実際、お前にはこの後別行動を取ってもらおうかとも思っているしな。だが、デミウルゴスの存在を、私は彼等に伝えておきたいのだよ」 「と申しますと」 「私はな、デミウルゴス。パーティーを組むと決めた彼等三人に対しては、出来るだけ誠実であろうと思うのだ。それはこれからパーティーに加えていく者達に対してもそうだ。何故なら、ここは我等の知識が及ばぬ異世界であるからだ」 デミウルゴスは、アインズの言葉を聞き、顎に手を当て考え込む姿勢を見せる。 そして、にやりと笑みを見せた後、深々と頭を下げる。 「なるほど、なるほど、流石はアインズ様です。そこまで先を考えておられたとは……このデミウルゴス、我が身の浅慮を恥じ入るばかりです」 アインズは、驚きを顔に出さないで済むアンデッドである我が身に感謝を捧げる。 『え? 先? 先って何? そういうんじゃなくて、単純に信用を得たいってだけなんだけど……』 アインズの脳内を放置で、デミウルゴスは感心しきった尊敬の眼差しを向けてくる。 「確かに、シャルティアの事もありますしな。アルベドならば問題も無いでしょうが、シャルティアは……その、少々思慮に欠ける部分がありますから。何処かで大暴れしていてもおかしくありませんし」 『え? え? え? そこで何でシャルティアが出てくるの? ちょっとデミウルゴス、君が考えたその素晴らしい思考をこっちにもわかるよう提示してっ、お願いっ』 デミウルゴスが何を言ってるのかわからないアインズは、とりあえず話を合わせてみる事にした。 「そ、そうだな。シャルティアは下手をすると、ルールや名簿すら見ていない可能性すらある」 「……ありえますなぁ……まったく、手間ばかりかけるのですから……」 「一刻も早く見つけてやらねばな。お前に別行動を頼みたいというのは、そういう事だ。もちろん名簿にある他のメンバーに関する情報収集も必要であるし、そういった難しい判断を要する仕事はお前が一番だからな」 「恐縮です。そういえば先程カネキなる者と遭遇した時の話に出た、黒い獣の戦闘力が油断ならぬとおっしゃっておりましたが、具体的にはどのような敵だったのですか?」 アインズは戦闘の詳細をつぶさに説明してやる。 超位魔法をまともにもらっておきながら、平然と動いていたというくだりで、さしものデミウルゴスも表情が歪んでいたが。 「……この場所では、我等が力は弱められておりますが……それにした所で超位魔法をとは……」 「我々に匹敵する戦闘力を持つ者がいる。これは、頭に入れておかねばなるまい。もちろん、より以上の敵が居る可能性も高い。その辺はデミウルゴスもとうに考え至っていたであろう」 「はい。これに対し、アインズ様がまず懐柔の手を取られるというのは、極めて妥当な判断でしょう」 「というか、流石に現状ではいきなり強硬策なぞ取れん。それは誰にとっても同じであると思うのだが……先の黒い獣といい、デミウルゴスが遭遇したマド達といい、どうも知恵の回りの悪い者が多いようだな」 「アインズ様の叡智にかかっては、どんな知者も知恵の回りの遅い者になってしまうでしょうに。とはいえ、愚か者が多すぎると、かえって先が見えずらくなるのも事実。どうかご自愛を」 「わかっている。デミウルゴス、お前も充分な注意を忘れずにな」 「ははっ。こうして無事アインズ様と合流出来、アインズ様もより恐るべき敵へ注意を払っているとわかった今、私も無理は控える事にします」 そのデミウルゴスのもってまわった言い方に、アインズは違和感を覚えた。 「私と合流するのに、そんなにも無理をしたのか?」 「いえ、あくまで可能性の話でしたし……」 そこで言葉を切るデミウルゴス。その怪訝そうな顔に、アインズは冷や汗(もちろん錯覚だが)が噴出す。 『あれ? 何か失敗した? ちょ、黙らないでよデミウルゴス! 怖いよその沈黙! ねえ、ねえってばさ!』 「アインズ様。私も、アルベドも、そしてルールを読んでさえいればシャルティアも、もし、この地でアインズ様に合流する前に、我等に匹敵する、或いは凌駕するような強敵と思しき存在を見つけましたなら、我等は必ずやその者に戦いを挑むでしょう」 「……な、に?」 「ああ、やはり……アインズ様。これは確かに戦力云々の効率を考えれば良手ではないかもしれませんが、我等は、それが少しでもアインズ様の御身の安全に寄与出来るというのなら、命を賭す事に何の迷いもありませぬ」 「あ、ああ……だが、それとお前の話とどういう……」 「ルールにあります、死者は定期的に放送でその名を呼ばれると。ならば、ここで我等の名が呼ばれるような事があれば、きっとアインズ様は領域守護者をも凌駕する敵がいる、と警戒してくださる事でしょう」 ハンマーで頭を殴られたかのように、アインズはその場で大きくよろめく。 デミウルゴスはアインズのその様子に、自らの考えが正しかったと知る。 アインズは愚かな考えを嫌う。だから、効率的でもないこのような忠義の示し方を好みはしないだろう。 その知恵を認めている相手ならば尚、そんな手を取るはずはないと思っているのだろう。 そんなアインズの期待を裏切るような考えだ、これは。だが、それでもデミウルゴスは譲れない。 アインズの生存は、ナザリックのその他全てをなげうってでも確保しなければならぬ至高の命題なのだ。 それはデミウルゴスのみならず、ナザリックに居る全ての者が共有している想いだとの確信もある。 他にナザリックのメンバーが誰も来ていないというのなら、彼等の想いを背負い、デミウルゴスが、アルベドが、シャルティアが、三人が何としてでも果たさねばならぬ絶対の使命であるのだ。 「愚かとの御叱責も覚悟の上です。ですが、どうか、我等が忠義を……」 そこで言葉をとめたのは、アインズがこちらを強く睨む姿が見えたからだ。デミウルゴスは、言い過ぎたか、と全身に怖気が走る。 だが、アインズは怒声を発したりはせず、大きく、大きく嘆息した。 「デミウルゴス……お前達の忠義、心から嬉しく思う。だが、だ。だがな、デミウルゴスよ、その思いは、何故一方的なものであるのだ。何故、私が同じようにお前達を大切に思っていると、我が身に代えてでも決して失わせはせぬと思っていると、考えてはくれぬのだ」 そして、デミウルゴスの肩に手を置く。 「あまり、困らせてくれるな、デミウルゴスよ」 そのアインズの慈愛に満ちた言葉に、デミウルゴスは深く頭をたれる。 「……もったいなき、お言葉でございます。私が、私達が持つこの覚悟を、覆すのは難しいですが、アインズ様のご期待に沿うよう全力を尽くしたいと思います」 アインズは静かにデミウルゴスを見つめる。 「そうだな。今は、それでいい。お前の知恵があれば、数多の問題を解決して尚、私の希望を適えるぐらいの余裕は持てるだろうしな」 さて、と話題を切り替えるアインズ。 「この地に送り込まれ、理不尽な殺し合いに参加させられた今の我等の立場、これに関するお前の所見を聞こうか」 はっ、と澱みなく答えを始めるデミウルゴス。 ユグドラシルから転移した時と基本的な対応は一緒だ。ただ、今回は戦力が極端に少なくなっているのと、明確な敵が存在している。 また、他に同じ目に遭わされた者達の中には、デミウルゴス達に匹敵する、或いは凌駕するような存在も居るだろう、と思われる。 つまり最も優先すべきは情報収集で、また色々と行動や時間に制限がつく原因であろうこの首輪の殺傷能力を調べる事も必要だと述べる。 「私も幾つか脱出案は考えましたが……流石はアインズ様です。よもや脱出後の事まで考えておられようとは。確かに現状は、異世界の知識や技術を手にする好機と捉える事も出来ますからな」 このデミウルゴスの発言で、どうにかアインズの脳内でデミウルゴスの話が繋がってくれた。 どうやらアインズが懐柔にて仲間を増やそうとした理由を、知識や技術の取得の為と思っているようだ。 アインズは単純に、他参加者がこちらより強い可能性を考えてそうしただけなのだが。 アインズは、内心どきどきしながら、口を開く。 「そ、そうか。デミウルゴスは、どの手が一番有益だと考えたのだ?」 「はっ、私はまずはこの殺し合いを企画した者達が、どれほどこの企画の運用に慣れているかを見定めようと考えました。それが、手馴れたものであれば、アインズ様一人を生き残らせるのが一番脱出の可能性が高いでしょう」 「手馴れていなかったら?」 「付け入る隙が、あるという事です。とはいえこちらは不確定要素が大きく、危険が伴います。現状は……残念ながら、あまり企画進行が円滑であるとは言い難いですな」 「確かにな。当面は、率先して殺して回るような輩を潰していく事か」 「ええ。本来は無視して良いどころかそういった連中に有象無象を殺させるのがよろしいのですが、技術獲得を考えるなら、その手の連中は速めに殺しておかなければなりません」 そこでデミウルゴスはにやりと笑う。 「そうなってくると、シャルティアが活きてきます。あれが暴れまわっていれば、率先して殺す連中がシャルティアへと接触する可能性が増えます。そうしている連中同士は、お互いの潰しあいは後に回す方が効率が良いですから」 そこでシャルティアにそういう奴等をさっさと殺させるも良いし、アインズ側からは情報を入手しずらい殺し側からの情報も入手しやすいと、実に良い立ち位置になるのだ。 「シャルティアをどうしたものか、私は早々に合流して釘を刺す程度しか考えていなかったのですが、よもやシャルティアの性質をすら利用した策を考えていらっしゃったとは……」 「あ、ああ、そうだな」 「もしアインズ様が他者からの信用を得る必要が出たのなら、シャルティアにはそのまま敵役として暴れてもらいアインズ様に退治していただくというのも手でしょう。ああ、まったく、縦横無尽な策とは正にこの事。このデミウルゴス、感服いたしました」 アインズは脳内だけで、何度も何度も頷いていた。 『いやぁ、やっぱり困った時はデミウルゴスだなぁ。何でこう次から次へと策やらアイディアやらが沸いて出てくるんだか』 デミウルゴスは主の知略をその目にした事で、至福の表情である。 「後は、シャルティアに一刻も早くこの策を伝え、立ち回りの説明を行う事ですか。……本音を言えば、アルベドとも早く合流したい所ですな。彼女がアインズ様のお側にあれば私が単身で動き回っても万に一つも無くなりますから」 「おいおい、私は手を引かれねば動けぬ赤子か何かか? お前の気持ちも立場も理解はしているが、偶にはきちんと戦力扱いして欲しくなるぞ」 「は、ははっ、も、申し訳ありません」 恐縮するデミウルゴスに、アインズは笑って言った。 「だが、気持ちはわかる。攻め手がシャルティア、守りはアルベド、そして遊撃デミウルゴスか。ははっ、まるで負ける気のせん布陣だ」 「ははっ、ご期待に沿えるよう、全力を尽くす所存」 よし、とアインズはデミウルゴスを伴い喫茶店へと向かう。 デミウルゴスは悪魔種であるが、あのメンバーならば受け入れてもらえるという自信があった。アクアはともかく。 大体、アクアと比べれば礼儀正しさではぶっちぎりでデミウルゴスの方が上なのだ。 しかも頭が良くて気配りも出来る完璧超人と来た。これで嫌われると思う方がどうかしている。 どうしてこうなった。アインズ・ウール・ゴウンは喫茶店の中で椅子に座りながら頭を抱える。 「こおおおの悪魔っ! もう許さないわよ! 今すぐけちょんけちょんにしてやるから表に出なさい!」 「おやおや、仲間、でしょう貴女と私は? そんな当たり前の前提も理解出来なくなりましたか? やれやれ、知能に致命的な欠損を抱えたままで口を開くのは勘弁してもらいたいものですね、言語への冒涜でしょう、最早」 「うっがああああああ! 殺す殺す殺す殺す殺しきるううううううううう!! 今! 私の拳にかつてない怒りと悲しみが積み上がってるわ! お、恐ろしい、この腕でゴッドブローを放ったりしたら、こんな店一撃で消し飛んじゃうんじゃないかしら!? でえええええもおおおおおおお! 許さん! そこのクソ悪魔は地獄なり魔界なりにたたき返してやるわ!」 ぎゃーぎゃーやかましいのを他所に、胡桃がアインズに語りかける。 「……私の目から見ても、デミウルゴスさんは悪くなかった。だから、ね。その……」 「フォローなら無用だ胡桃……デミウルゴスにアクアの馬鹿さ加減を予め言い忘れていた私が悪かったのだ」 カネキも話に混ざってくる。 「デミウルゴスさん、凄く冷静な方に見えたのですが……いやぁ、ああいう人って怒らせると怖いって良く言いますよね」 アインズは骸骨顔を歪める。カネキにも、段々とアインズ表情集が理解出来るようになってきた。これはもちろん困った顔だ。 「的確正確にデミウルゴスの急所を突いて来たな、アクアの奴。デミウルゴスは常識的な判断能力を持つのだが、私の事となると少し冷静さを欠き易いのだ……すまん」 カネキと胡桃は同時に言った。 「「いや、あれは絶対アクアが悪かった」」 アインズがデミウルゴスを紹介している最中、懲りずにまたアインズにターンアンデッド仕掛けた挙句、アインズの部下だ、と言っている相手の前で平然とアインズをぼろっかすに貶しにかかるのだから、あれは怒って当然であろう。 嘆息するカネキ。 「せめてもデミウルゴスさんが暴力沙汰に乗ったりしないのがありがたいですね。これで怒って実力行使に出る人だったら収集つかなかったよ」 じと目の胡桃。 「あー、アクアも何か強そうオーラ感じ取ってるせいか、威勢の良い事言っときながら直接手出しはしてないなー。ああいう無駄な危険回避能力、もっと重要な場面で活かしてくれないもんか」 結局、アインズと胡桃とでそれぞれデミウルゴスとアクアをなだめ、それなりに落ち着かせたのだった。 「わ、わかったわよ。ま、まあ私も何せ女神だし? 寛大な心で許してあげるわ、ありがたく思いなさい」 「……申し訳ありませんアインズ様……まさかここまでの……が居ようとは思いもよらずつい……」 アインズはかなり真剣に思った。 『てか、本気で自制してるはずのデミウルゴスをキレさせるとか、逆に凄くないかアクアの奴?』 デミウルゴスは表面的には恭しく、アクアにも謝罪し頭を下げて見せた。 ここら辺は彼の強固な意志の力が感じ取れ、アインズは密かに感心していたり。 そしてデミウルゴスが皆に尋ねる。 「えー、カネキにクルミ。この後、どう動くかの計画は考えてらっしゃいますか?」 そこでアクアが口を挟んで来る。 「はー? とりあえずそこのアンデッドが言う、なざりっくって所に行く予定よ。何でそこに行くかまでは知らないけど」 頬の引きつるデミウルゴス。 「ほ、ほう。しかし、目的も知らず、ではこの先不安ではありませんか?」 「何よ、この先って言ったって結局はどうやって脱出するかーって話になるんじゃない。そんなのもう考えてる人なんているの?」 「当たり前でしょう。というか貴女はそれを考えていないのですか?」 はあ、と声を上げてアクアが席から立ち上がる。 「ちょっと待ってよ。そんな……簡単に脱出なんて出来るのこれ?」 「誰が簡単だと言いましたか。ですが、ここに送り込まれてからどれだけ時間が経ったと思っているのですか、これだけ時間があれば脱出計画の一つや二つ、それを実行しうるかどうかはさておき、立てていてもおかしくないでしょう。自分の命に真剣であるのなら、当たり前の事です」 うぐ、と口ごもった後、アクアはふふん、と胸をそらす。 「あ、当たり前じゃない。わわわわわわ、私だって脱出プランなんてもう、山程思いついちゃってるんだからっ」 「ほー、ではお聞かせいただいても?」 「そ、それはあれよ! まず頑張って首輪を外して! それでもって頑張って黒幕見つけ出して! そしてトドメは女神のこの私が……」 「それは計画ではなく願望です。具体性という文字は何処へやったのですか」 「な、ななななによー! じゃあアンタにはアイディアあるっていうの!?」 「ですからあると言っています。とはいえ、私の策なぞアインズ様のものには到底及ばぬものでしたが……」 えっ、とカネキ、胡桃、アクアの三人が揃ってアインズの方を向く。 『無茶振りな挙句ハードル上げるなデミウルゴスうううううううううううう!!』 といったアインズ内心の叫びはさておき。 カネキが恐る恐るといった様子で訊ねる。 「えっと、アインズさんもしかして脱出の計画とか、もう考えがあるんですか?」 「う、うむ。まあな」 胡桃が感激した様子で手を叩く。 「凄い! アインズさんって頭良いなーって思ってたけど、何かもうここまで来ると私達とは次元が違うよ!」 デミウルゴスは胡桃とカネキの反応に少し気を良くしたようだ。 「貴方達はこの上無く幸運ですよ。アインズ様が味方に居らっしゃるという事は、アインズ様の神算鬼謀を安全な場所からその目に出来るのですからね。お二人が後学にするには桁が違いすぎるでしょうが、そうした遥かな高みがあるという事を知るのも、大切な勉強になるでしょう」 カネキも胡桃も、そしてアクアでさえも、期待に満ちた目でアインズを見る。 もちろんそれは脱出の計画とはどんなものかを聞きたい、といった視線だ。当然、アインズにそんなものは無い。全く無い。そもそも敵方の情報も全く揃ってない現状でどーやって脱出計画を立てろというのか。 だが、アインズには起死回生、必殺の技があった。 おもむろに、アインズはデミウルゴスの方を見て、一つ頷く。 「よろしい、ならばデミウルゴス。皆に説明してあげなさい」 「ははっ!」 打てば響く、といった様子で即座に返事を返してくれるデミウルゴス。 一体どんな策を言い出してくれるのか、アインズも楽しみで仕方が無いのであった。 デミウルゴスは、まず、と指を一本皆の前に立てる。 「最初に集められた時の流れを覚えていますか? あれは、あまりにも稚拙すぎる演出でした。首輪の威力を知らしめたいのなら、もっと他に、あんな無様な小芝居ではなく普通に首輪だけ見せて爆破すればそれで良かったのですよ。あまりに馬鹿げた話で、挙句使い捨てであろうと自陣営の人間を、よりにもよって私達の前で死なせてしまった。あれは、見た者に反撃の余地ありと判断させるだけの超が付く悪手です」 挙句、と続く。 「如何にも無力で無能な人間をメッセンジャーとして表に出して来ました。黒幕はずっと後ろで糸を引いている、なんて思わせたいのかもしれませんが、あんなもの表に出せる人間が居ないが故の苦し紛れ以外のなにものでもありません。恐らくは、アレは我々のように異世界から引っ張ってきた人間でしょう、殺し合いには不向き過ぎるからああいう役割をさせられたといった所でしょうか。馬鹿馬鹿しい、どれだけ優れた道具も使う人間が間抜けでは意味が無いという事が、わかってないとしか思えません」 そもそも、と長話になるも、皆黙って聞き入っている。 「絶対的な力の差があるのなら、それを真っ先に提示すべきでしょう。知能が高ければ高い程それが理解出来るでしょうから、目的の殺し合いに乗るしかないと即座に判断出来るでしょう。そうしない理由なんて、そう出来ないから以外にありえません」 また、となめらかに話し続けるデミウルゴス。 「この殺し合いのルールもよろしくない。はっきり言って、殺し合わせる気皆無としか思えません。私やアインズ様のような者を参加させておいて、武器を支給したからこれで殺し合いをしろ、だなどと片腹痛いにも程があります。どれだけ優れた武器であろうと、元のレベル差がありすぎれば意味なぞ無いでしょうに」 更にこれは、となる。 「実力差がありすぎる者が招かれているというのは、これを企画し実行に移した何者かは、拮抗した殺し合いではなく虐殺を求めているか、もしくは、招く者を選ぶ事が出来ないかのどちらかでしょうよ。私は、現状の企画の杜撰さを鑑みるに後者である可能性が高いと思いますがね」 そう、これが肝です、と力を入れる。 「私は、彼等は異世界より招く人間を、選ぶ事が出来ないのだと考えます。それが何を意味するかわかりますか?」 問われた胡桃もカネキも、一緒になってアクアも、首を横にぶんぶんと振る。危うくアインズもそうしかけた。 「誰が来るのかもわからないのに、招いた相手を確実に爆殺出来る首輪なんて用意出来っこないという事です」 胡桃とカネキが同時に自分の首を指差して言った。 「「ハッタリ?」」 「いえ、少なくともあそこで見た程度の爆発ぐらいは起こせるでしょう。ですが、危険なのでまだやりませんが、あの程度の爆発では私は殺せません」 ここまで話した所で、にこっと微笑みかけるデミウルゴス。 「どうです? 話途中ですが、何か勝てそうな気、してきませんか?」 やはり今度も、胡桃カネキアクアはうんうんと三人揃って頷く。アインズは、今度は予測していたので余裕を持って回避。 「あの場に最初に居た四人の髪の毛の無い者達は、当初はアレで充分だとの判断だったのでしょう。ですが、知能の低い者が現状把握もせぬままに暴走し、あれよという間に殺されてしまいました。その後暴走した者の首輪を爆発させ首輪爆破のデモンストレーションだという風を取り繕いましたが、今頃向こうでは大騒ぎなんじゃないですかね」 さて、と急に話を切り替えにかかるデミウルゴス。 「ここで気になる事が出てきます。奴等は何故、このような殺し合いを計画したのか、です」 全員が話に引きこまれているのを確認してから、デミウルゴスは一気に話を進める。 「蟲毒、即ち多数の虫を狭い場所に押し込め、生き残った強い個体を選別するといった術法を持ち出して来ましたが、ではそうして生き残った個体を何故必要とするのか、です。闘技場で技術を競わせるではない、多様性のあるフィールドで知略含む総合的な強さを必要とする戦いの場、つまり、より現実に即した戦いであろうとしている。彼等は、現実に通用する強者を求めているのです。何故? そんなもの考えるまでもありません、敵がいるのでしょう彼等にも。彼等が倒しきれない敵が。でなくては強者なぞ必要としません」 ではここで、と再び問いかけモードに。 「いきなり異なる世界から呼び出され、今すぐ自分達に代わって敵と命懸けで戦ってくれと言われ、いいですよと答える馬鹿が居ると思いますか? だからと呼び出した者が制圧出来る程度の戦力ならそもそも不要ですし、怒らせ自分達が襲われ負けましたでは本末転倒で。そこで首輪です。更にもう一つ、殺し合いという戦闘の場を交える事で、我々の有効な利用の仕方を見定め、以後の戦いに活用するという訳です」 すらすらと原稿を読むようなデミウルゴスの言葉に、三人はただただ圧倒されるのみ。 「これは、当然ですが招く側にも大きな危険のある行為です。なので彼等に人間程度の知恵があるのなら、万全の体勢を整え迎え入れた事でしょう。それで、先の状況であったと考えると、今我々が迎えているこの殺し合いの場には、彼等が想定するより遥かに上の戦力が集まってしまったのでは、と私は考えます。アインズ様や貴方達が出会った黒い獣も、そうした想定外戦力の一つでしょう。ここまでで、私の意見に異論のある方いらっしゃいますか?」 胡桃は何を聞いていいのかわからない様子で、アクアはというとほへーといった顔、一人カネキのみが悩ましげに眉根を寄せていた。 「あのー、その推測は全部理に適っているとは思います。思うのですが、それと確定して動くには、まだ状況証拠すら揃いきっていない気がします。今のデミウルゴスさんの話を否定する材料も、幾つかこの土地にはあったと思いますし」 デミウルゴスは、満面の笑みで頷く。 「然り、然りですよ、カネキ。しかも私の話はその大半が、敵は大した事が無い、といった内容ばかりです。これを警戒せず鵜呑みのするばかりでは、愚者の呼び名を免れえません。ですが、私の推測を完全に否定しきる材料も、無いのではないですか?」 「はい。ですから、基本はその考えでいいと思います。後は殺し合いをして問題を安易に解決しようという人達をかわしながら、協力しあえる人を探す中で、確認作業を行えばいいかな、と」 「それ次第で幾つか変更は起こりえますが、基本の動きは変わりません。この地に招かれた力ある者を集め、この殺し合いを管理する者達に交渉を求めます。戦いに協力を約束する代わりに、戦闘に見合った充分な報酬と我々のその後の帰還を担保させるのです」 胡桃が渋い顔をする。 「……そ、それだと私達とかは、帰れそうにないかなーって……」 にっこりと、笑みを見せるデミウルゴス。 「馬鹿な事を。貴女はアインズ様が仲間と認めた方ですよ。アインズ様が仲間の進退を放置するなどありえません。交渉の際は貴女方の帰還も当然議題に乗せます。貴女からは、貴女の世界の情報を提供していただく。それで、我々にとっては充分な対価となりうるでしょう」 不安げに胡桃はアインズをちらと見る。アインズは、デミウルゴスの言葉に重々しく頷いてやると、胡桃の表情が可愛らしく晴れてくれた。 そしてアインズの方はというと、こちらは脳内のみで喝采を挙げていた。 『ウルベルトさあああああああああああああああん!! 良くぞ! 良くぞデミウルゴスを作っていてくれた! ありがとう! おかげで何とか生き残れる目が出て来たかもしんないって! やっぱここ一番ではデミウルゴスだわ! こんな無茶苦茶な状況だってのにいともあっさり道筋作っちゃうんだもんなぁ!』 状況予測からの今後の行動予定を披露したデミウルゴスは、ここで一旦話を終える。 「……といった次第です。アインズ様、不足の点はございますか?」 「いや、問題ない。具体的な部分はまた都度詰めていくのだろう?」 「はい。とはいえ私は別行動となりますので、こちらの方はアインズ様にお任せする事になってしまいますが……」 「そ、そうか。まあ、こちらはこちらで何とかするので気にするな」 デミウルゴスをこのまま手元に置いておきたい衝動に駆られるアインズであったが、おそらくアインズがカネキや胡桃を引き連れて捜索するのと、デミウルゴスが単身でそうするのとでは圧倒的に探索範囲に差が出る。 アルベドやシャルティアと連携を取る為にも、万が一に備える為にも、二人との合流は最優先事項なのだ。 今のデミウルゴスの話を聞いて盛り上がってしまった胡桃達は、どうすれば上手く脱出出来るかを本気で考え話し合い始めている。それを横目に、アインズはデミウルゴスに訊ねた。 「地図にナザリックの名があった。あれを、お前はどう考える?」 「……実はそこが、最も確認を要する場所になると考えておりました。アインズ様もとうにそうお考えだったようで、私の考えは正しかったと少しほっとしております」 必死に頭を捻って回答を引っ張り出すアインズ。 「ナザリックが本物であれば、敵が容易ならざる相手だと認めなければなるまい。……もし……そこに……」 デミウルゴスもそれを想像したのか、苦渋の表情だ。 「皆が戦った後があれば……確定となります。その場合、抗う、ではなく、従う、をまず選ぶのが、良策、かと」 少し間を空けてから、アインズは苦笑し言った。 「デミウルゴス、お前から苦言を聞くのは始めてか? 存外、主に不愉快な事実を告げる役も似合っているではないか」 アインズの冗談にも、デミウルゴスは苦しげな表情を崩さぬままだ。 「……心中、お察しいたします」 「そう気を遣うな。デミウルゴスの直言、嬉しく思うぞ。主を立てるのは良いが、言うべきを言わぬは臣下の役目を果たしておらぬと私は考える。お前は、真に優れた配下であるぞ」 アインズは心の中で、この素晴らしい部下に相応しい主に、頑張ってなって見せないとな、と気合いを入れなおすのであった。 デミウルゴスからの素晴らしい置き土産を受け取ったアインズ一行は、彼と別れて意気揚々と地図を北東に向かって進む。 橋を渡り、山裾を抜けた先にあるナザリック目指して。 この間、アインズは遠隔視の魔法で上空よりの視点を確保し、周囲を警戒している。 人間ならば夜間にそうした所で見える範囲などたかが知れているのだろうが、アンデッドであるアインズには闇を見通す目が備わっているので問題にはならない。 そんな魔法の存在を夢にも思わぬ接近者が二人。 彼等は、どうやってかアインズ達が誰一人気付けぬ距離からこちらの存在を見つけ出し、警戒しながら接近して来る。 『警戒は当然だが。さて、あの様子を見る限りでは中年の男は、なかなかに隠密術に長けているな。どちらも……衣服も顔立ちも日本人っぽい、か。こういう時、戦士職でないのが悔やまれるな。私には動きを見ただけで技量を判別する事が出来ない』 アインズはカネキにのみ聞こえる声で告げる。 「……接近して来る者が居る。反応はするなよ」 カネキはすぐにアインズの意図を察し、顔は正面を向けたままで小声で返す。 「方向は?」 「我々の後方、道路のミラーを利用してこちらを見ている」 「……驚きました。本当に居ます。良く、気づけましたね」 カネキは何かを見てそう言ったようには見えなかった。グール特有のスキルでもあるのだろうか、とアインズは後で聞いておくリストにこれを加える。 「マジックキャスターというのは、色んな事が出来るものなのさ。カネキ君、君は相手の動きを見て技量を予想する事が出来るか?」 「比較対象が僕になりますけど、それでよければ」 「充分だ。では、接触と行こうか」 アインズは不意に足を止める。 胡桃とアクアも不審そうな顔でアインズに倣う。 「ん? どうしたアインズさん?」 「何よ、トイレだったらさっさと行ってくれば」 アインズはくるりと後ろを振り向き言った。 「後ろの二人組み、我々は無益に他者を攻撃するつもりはない。無論、仕掛けられれば対応するが、こちらからそうする意図は無い。そちらもそうであるのなら、是非出て来て欲しい。お互いに話し合いの余地はあると思うのだが」 しばし時間を置き、二人の男女が角より姿を現した。 それを見て、カネキは隠し切れぬ驚愕の表情を浮かべる。 アインズはそんな彼の様子に気付いていながらスルー。二人に声をかけた。 「私の名はアインズ・ウール・ゴウン。ここに居る三人と共にこの地よりの脱出を目論んでいる者だ。君達は?」 中年の男の方が、一歩前に出て告げる。 「喰種対策局上等捜査官、真戸呉緒です。後ろの女性はここで出会い保護した毛利蘭さん。……そちらに居るボウヤが、私の身分を証明してくれますよ。確か一度、会った事があるよね、君」 アインズがカネキの方を向くと、カネキはまだ衝撃から立ち直っていないようだ。 「カネキ君、知り合いかね?」 「あ、ああ、は、はい。そ、その……」 真戸は親しげな笑みを見せる。 「その節は申し訳ありませんでしたねぇ、よりにもよって普通の人に喰種の疑いをかけてしまいまして。とはいえこれも職務ですので、どうかご理解頂きたく」 カネキは細かく震えたまま、いえ、と言葉少なに答える。 アインズはカネキの怯えように、すわ強敵かと心中にて身構える。 グール対策局という名前から考えるに、カネキを狩る側の者達であろう。 横目に確認した所、その堅い表情を見れば胡桃もアインズと同じ考えに至っていると予測される。後はアクアだが、コイツはもうその辺はハナから諦めている。 胡桃に目線で指示を出す。胡桃も即座に了承。つまり、アクアが余計な事言い出そうとしたらこれを止める役目を胡桃が仰せつかったという話。 アインズは全てを知った上で堂々と真戸に問い返す。 「女性を保護したというのは感心な話であるが、その喰種対策局とやらに聞き覚えは無いな。何故殊更にグールのみの対策を? お前はグール以外のアンデッドには対策を講じないとでも言うのか?」 アインズの返答に、真戸は即座に切り返してくる。 「ええ、ウチの周辺には喰種しか居ませんので。えっと、アインズ・ウール・ゴウンさん、でしたか?」 「アインズでいい」 「ではアインズさん。そちらの三人の男女は貴方が保護したのですか? 失礼ですが、貴方御自身の職柄などは……」 「私はあくまで民間人だ。だが、これでマジックキャスターでもあるのでな。有象無象の不届き者を蹴散らすぐらいは造作も無い。彼等は皆……あー、うん、おおむね、良い子ばかりだしな。無碍に散されるを見るも忍びないと思ったが故だ」 真戸は下から見上げるように片方の目を大きく見開く。 「そうですか。ですが、一応、ですよ。一応なんですが、その、かぶったフードを上げてはもらえませんか? ええ、これも職務なんで、確認は怠るわけにはいかないんですよ。どうか気を悪くしないでくださいね」 肩をすくめるアインズ。 「別に構んが。後ろの女性、毛利蘭さんと言ったか。私の顔を見ても、どうか取り乱さないで欲しい。私がどのような容貌をしていようと、私に君を害する意図は無いのだから」 そう断ってからアインズは目深に被ったフードをあげる。 さしもの真戸も無表情は無理。蘭は大口あげて驚いている。無理も無い、アインズの顕になった頭部は、トリックの入り込む余地すら無い程に骸骨であったのだから。 「アンデッドの、オーバーロードという種族だ。その反応を見るに、オーバーロードどころかアンデッドを見るのも始めてといった所か」 流石の真戸もこれは判断に迷った。何せ目が赤いというか、目が無く赤い光がそこにあるだけなのだから。 「……さっきのといいコレといい、どうなってるんですかまったく……」 思わずそんな愚痴ももれようもので。 アインズは続ける。 「この彼もそうだったが、真戸、君も彼と同じ国の者だというのなら、きっと魔法を知らないのだろう? アンデッドは自然発生もするが、魔法で作られる事も多い。魔法的要素の無い場所では見ないのも道理だ」 そして、と真戸ではなく後ろの蘭に問いかけるアインズ。 「君も、魔法もアンデッドも知らぬ者か?」 蘭は勢い良く四度頷いて見せた。 「そう怖がらなくていい。アンデッドとはその名の通り死後も動く存在の総称で、君達がそういったものを嫌悪するのも知っているが、私のように知能を備えるアンデッドは殊更に人間と敵対しようとは思わんし、利害が一致するのなら人間に協力するも吝かではない」 そして今度は真戸に向き直る。 「彼からグールの話は聞いた。私は人を食べたりはしないから安心して欲しい。というかそもそも私達アンデッドは食事を必要としないのでな」 真戸は、ふうと嘆息すると、頭を片手で抑えながらぼやく。 「正直な話、何が何やら、って所です。ただ、ここがどんな場所であろうと私は公僕で、国から税金頂いている以上相応の仕事はこなさなければならないという事だけは、はっきりとしていましてね。ですので巻き込まれた民間人の保護も、今の私にとっては義務でもあるのですよ」 「それは素晴らしい事だ。……が、思考停止して今がどんな状況なのかも考えていない、という事ではないだろうな?」 「もちろんですよ。現状、我等の死命はこの悪趣味な企画を企てた連中に握られているという事も、脱出が極めて困難であるという事も、わかっていますよ」 「ならいい。最低限それぐらいは認識していてもらわないと、会話すら成立しないだろうからな。……これからどうするつもりか、アテはあるのか?」 「何とかして外部と連絡を、と考えていますが、今の所はどうにも上手くいかないものでして……」 そこで、遂にというかようやくというかやっぱりというか、ずーっと黙っていたアクアが口を出して来た。 「ねえ、ねえねえってば! 何かつまんない話ばっかじゃない! 私立ってるのつーかーれーたー! どうせまだ話し長いんなら私どっかで休みたいんだけどー!」 胡桃が止める暇も無い勢いで一気にまくしたてる。ずーっと胡桃が睨みつけて黙らせていたのだが、とうとう爆発した模様。 アインズは、頭を抱えつつ真戸に一言断ってからカネキの肩を叩く。 「済まないが、胡桃とアクアにコーヒーでも振舞ってやってくれないか。何処か……適当な場所でもあればいいんだが」 周囲を見渡すが、喫茶店のような場所は見当たらない。 そこでアクアが蘭の方に向かって言ってやる。 「ねえ、そっちの貴女も来なさいよ。男同士の話とかつまんないでしょ? ほら、カネキのコーヒーっておいしいんだから」 咄嗟に胡桃とアインズの目が真戸へと向けられる。 これまでずっと、アインズも胡桃も「カネキ」という名前を出さぬままであったのだ。 二人は詳しく話し合ったわけでもないので、喰種対策局が何処までカネキの情報を掴んでいるか知らなかったので、名前を出す事すら避けていた。 これで何かがバレたのか、と確認の為真戸の表情の変化を伺いにかかったのだ。 だが、これが、真戸に見抜かれた。 こうした化かし合いでは、明らかに真戸に一日の長があろう。 何より真戸の勘は、ゲートを通る事で潔白の証明されたはずのカネキを、いまだ疑っていたのだから。 もちろんそんな事おくびにも出さず、真戸は蘭に優しく告げる。 「ああ、蘭さんはもう少し話し合いに付き合って下さい。こういうのもまた、良い勉強になりますよ」 「あ、はい。あー、えっと、そっちの青い髪の子、ごめんね、私はもう少し話を聞いてるわ」 「そう? なら飽きたらいらっしゃい。私はアクアよ、えっと、蘭だっけ?」 「うん、ありがとう」 真戸は、アクアの方に声をかける。 「えっと、アクアさん。あまり遠くには行かない方がよろしいですよ。男手はあっても到底太刀打ち出来ない敵も居るかもしれませんからね」 真戸の意図に、アインズと胡桃が気付く前にアクアが答える。 「そんなのカネキが居るんだから何来たって大抵は何とかしてくれるわよ」 マズイ、そう思ったアインズと胡桃が何かを言う前に真戸が言った。 「ははは、彼のような細腕では、私にすら敵いませんでしょうに」 「何言ってるの! カネキならアンタなんか赤い目光ってびかーって瞬殺よ瞬殺!」 頭を抱える胡桃に、天を仰ぐアインズ。よりにもよって、喰種の特徴である赤い目の事を即座に口にするとは。 二人は、コイツわざとやってるんじゃないかと半ば本気で思いかけた程だ。 カネキは頬をかきながら、ちらっと真戸の方を見てみる。彼は、ものっそい嬉しそうに笑っていた。 「そおおおおおおおおですかあああああああ!! 赤い! 赤い! 赤い目でねえ! ねえ、そこの君! やっぱり、君だったんだねぇ! ああ、これできっとラビットの事も聞けるでしょう! 本当に! 今日は運が良い! 今度こそ紛う事なき喰種と出会えたのですから! ハハハハハ! こんなクソみたいな話に巻き込まれた、元を取れた気すらしますよ!」 バレたらマズイとは思っていたが、ここまでの絶好調リアクションは予想外である。 アインズは、恐る恐るといった様子で声をかける。 「あー、真戸? おい、話を聞く気はあるか?」 首を斜めにかしげながら、真戸はアインズに訊ねる。 「何故、庇おうと?」 「彼は優れた戦士だ。彼がグールである事によりこちらが被る不利益は、私の魔法で大幅に改善が可能であると考えている。一応聞くぞ、君はカネキ君をどうするつもりかね?」 「殺します。彼に何を吹き込まれたかは知りませんが、喰種が人間を食らう、それしか生きる術の無い害獣である事は、聞いていますか?」 迷いの無い即答であるが、少なくともアインズとはまだ交渉する気はあるようだ。 「彼がそういう種族であるというのは聞いている。だが彼は極力人を食わぬよう努力して来たとも言っているし、先も言ったように、私は彼の食糧問題を解決しうるかもしれない手段を持っている。これは君が矛を収める理由にはならんか?」 「彼が言ったのですか? 人は食わないし、人を食わないよう努力もして来たと」 「そうだ」 「で、人の社会に人間のフリをして隠れ潜み、人知れず人間を食い殺し生きていくような連中の言葉を、貴方はあっさりと信じたのですか?」 「なるほど、つまり君は、カネキ君が私を騙し、胡桃やアクアを食べるつもりであると主張しているのか。グールの食事は一月に一回強で充分と聞いたが、これは本当かね?」 「……そういった話も聞きます。貴方は随分と、人を食らう存在に対して同情的に見えますが。それには理由が?」 「私はアンデッドだからな、人間側にだけ偏った見方はしないというだけだ。グールとは食欲頻度は低いものの、人肉以外は食料として受け付けられず、辛うじて同族の肉のみがその例外である。また飢餓状態に陥ると、前後の見境が無くなる程に苦しみ、周囲に襲い掛かる。これも正しいかね?」 「…………それは、その喰種から聞いたので?」 「そうだ。そしてどうやらその反応、彼の言葉は真実であるようだな。これをもって、私は彼への信頼を新たにしたぞ。最早、私がカネキ君の誠実さを疑う事は無いだろう」 「彼等は狡猾ですよ。人間と同じぐらいに。或いは凌駕する程に」 「人間がそうであるように、人によるのだろう?」 「喰種は生きる為に狡猾でなくてはなりません。でなければ人間社会の中で人喰いがまともに生きていけるわけないでしょう。人に害の無い喰種は、死んだ喰種だけです」 「私が咄嗟に考えるだけでも、創意工夫次第で問題を先送りにする程度ならば出来そうに思えるがね。それにさっきも言っただろう、私は彼等の食糧問題は解決出来ると考えている。君達の知らぬ、魔法の力でな」 「だからこれまでの罪を全て笑って許せと?」 「彼は罪を犯していないと言っているし、君は彼の犯罪行為を見た訳ではないのだろう?」 「たいっ、へん、申し訳ありませんが、我等の法では喰種はただそうであるというだけで、駆除の対象となります。お説ご尤もな点もございますが、どうぞこの場は私に任せてお引取りを」 不愉快げな声音に変わるアインズ。 「罪の有無ではなく、生まれた事をすら許さぬと言うのか……」 「人間社会が喰種によってどれほどの被害を被ったか、それを貴方は想像する事も出来ませんか? いえ、した事が無いのなら今して下さい。人と同じ姿かたちをしたモノが、人の側に潜み隙を見てこれを食らい、生きていく。その種族は人に倍する力を振るい、銃弾ですら仕留める事が出来ぬ頑強な体を持ちます。ねえ、アインズさん。これでも人は、喰種を殺してはいけませんか? 妥協しようにも、彼等は人の肉を食うしか生きる術が無いのですよ? 彼等に殺されて来たたくさんの人達には、罪があったとでも言うのですか?」 「人間にも人を殺す犯罪者は居るだろう。そいつら同様、殺した分の罪を償えばいいだろう。その審議すらせず、ただグールだから死ね、というのは私には承服しかねる。……女性の前ではあまり言いたく話ではあるが、これまでにも、既に亡くなった者の遺体のみを食料として人殺しを忌避してきたグールも居ただろうに」 「それは治安を維持し、数多の者を治める側の人間の考えではありませんね。無責任にただ権利や薄い可能性を述べるのみで、果たすべき義務にも言及せずでは誰一人説得なぞ出来ませんよ」 「だから、私が彼の問題を解決してやると言っている。私はアンデッドを作り出す事が出来る。このアンデッドに再生能力を持たせてやれば、無限に食べ続けられる彼等に適した食料となろう。これでもう少なくともカネキ君は人間を襲う理由がなくなるわけだ。それでも、許さぬと?」 「……貴方のその魔法とやらが、如何なる物か私には検証する術がありません。そして、私は喰種対策局の上等捜査官で、その任務は喰種の駆除です。生憎と、私が刃を納める理由にはなりえませんな。喰種は理由の如何を問わず即座の対応が要求されます。それも、喰種の習性や能力を考えれば当然の事でしょう。ただ逃げられるだけならまだしも、彼等は往々にして強烈な反撃を試みて来ます。そしてその都度、貴方の言う所の全く罪の無い者の命が失われていくのです。喰種がせめて人間並みの能力しか持っていなかったなら貴方の言う対応もありえたのかもしれませんが、それは全く無意味な仮定でしょうよ」 「ならばカネキ君に限って言えば、彼への抑止力としてはこの私、アインズ・ウール・ゴウンが居る。私が居る限り、彼がもし仮にそう望もうと無法な真似なぞさせはしない。それでも駄目かね?」 「繰り返しになりますが、貴方の能力を私は知りません。ですので、貴方が面倒を見ると主張したとてそれを認める事は出来ませんね」 では、とアインズは攻める方向を変えてやる。 「ならばこの土地はどうだ?」 「土地、ですか?」 「お前はここを、お前の国だと思っているのだろう? だからお前の国の法を適用しようとしている。だが、ここは本当にお前の国なのか?」 「……どういう意味ですか?」 「ここにある建物は所謂お前の国である所の日本、に見える。だが、本当にそうなのか? 私は既に、この地に来て三つの日本を聞き知っているのだぞ?」 真戸は伺うようにアインズを見るが、さしもの真戸も、アンデッドを見て何かを察する事が出来そうに無い。 「いいか真戸、君とカネキ君はどうやら同じ日本から来ているようだが、この恵比須沢胡桃の居た日本にグールなんてものは存在していない。そうだな胡桃」 いきなり話を振られて驚いた胡桃だが、うん、と素直に答えを返す。 「そして私も日本を知っているが、そこにもグールなんてものは居なかった。そして私の知る日本と、胡桃の知る日本が全く別物である事も確認している」 そしてさっきからずっと、アインズが表情の変化を伺っていた蘭に声をかける。 「そこの、毛利蘭。君も日本の出のように見えるが、どうだ? 君の居る日本にグールは存在したのか? ゾンビは? はたまた外に出る事も出来ぬ汚染されきった自然はどうだ?」 蘭は無言のまま。何かを口に出せば、真戸に不利になると思っての事か。 ただ、その表情が不安げなのは、アインズの言葉に動揺しているせいであろう。 真戸はアインズを問いただす。 「……何が言いたいんです?」 「異世界。その存在を君は認めるべきだと言っているんだ。君の世界ではこんな……」 そう言いながらアインズは明後日の方に手をむけ、術を放つ。 火球が打ち出され、家屋の入り口が一撃で吹っ飛んだ。 「魔法なんてものは存在しないのだろう? なあ真戸。日本という国の名が同じだからといって、皆が皆君と同じ世界の住人だとは限らないのだぞ。そしてそれを認めてくれるのならば、そんな異世界で、君の国の法をふりかざす事の愚かさが良くわかるだろう。今はそんな事をしている場合ではない、もっと優先すべき事柄があるはずだろう」 アインズとしては、かなり有効な一撃であると確信していたのだが、真戸呉緒は全く動じる事は無かった。 彼自身も、デミウルゴスやアインズといった意味のわからぬ存在を目にし、異世界云々に思う所はあるのだが、それでも彼が動じる事は無かったのだ。 「町並みを見ても、話される言語を聞いても、ここが日本以外の何処かである、と公僕たる私が判断を下してしまう材料には足りません。である以上、ここは当然日本であるとして私は行動しますよ」 「こ、この頑固者めっ」 「頑固はお互い様でしょう。何故そうまでして彼を庇うのですか。この短い間にどれだけの事があったというのですか」 理では動かぬ、そう思えてならないアインズは、今度は率直に自らの意思をぶつけてみる。 「気に食わん。ああ、心底から気に食わない。弱肉強食は自然の摂理で、種族毎に憎しみの根があるのもわかる。だが、法だか何だかをふりかざし、生まれた事すら許さぬとその存在を抹消にかかるなど……このアインズ・ウール・ゴウンへの侮辱であるとすら思える程に、不愉快だ」 真戸はどうやら説得を諦めたようで、バッグから大型の鎌、エレザールの鎌を取り出す。その動きで、全員がその身を緊張に固くする。 「どいてくれないのなら、どかすしかないようですねぇ。毛利さんは下がっていてください。今回ばかりは貴方が加わる道理がありませんから」 カネキは、これは自分が解決すべき問題だとアインズの前に立とうとする。 そんなカネキの動きはアインズにとって、真戸とのやりとりでささくれたった心を癒してくれるものであった。 「待ちたまえカネキ君。彼と対決していたのは私だ、ここは私に任せたまえ。それに……」 アインズはかなり本気でやる気を出していた。 「一度、このアインズ・ウール・ゴウンが仲間にすると口にしたのだ。その仲間を傷つけようなぞと私は断じて許さん。真戸、相応の覚悟は済ませたか?」 「お構いなく」 アインズは無造作に、大股に、真戸へと足を進める。 「お前は、途中で話をする事を投げ出したりはしなかった。私の言葉に、感情ではなく理を持って答え続けようとしていた。そこは、本当に素晴らしい美点だと思ったのだがな……」 「……屁理屈が、好きなんですよ」 「そうか」 真戸の大鎌が凄まじい速度で振るわれる。 その特異な形状から、何処が危険な部位であるのか、何処を武器として用いてくるのかが非常にわかりずらいのだが、アインズはやはり無造作に上げた手で、その刃を受け止め弾く。 上位物理無効化のスキルは失われているが、斬撃武器耐性は生きている。 アインズの体に刃を通すには、相当な威力を必要とする事だろう。 「しばらく頭を冷やすのだな」 アインズがそのまま真戸に触れると、真戸は声も無くその場に崩れ落ちた。 アインズは一応、声はかけてみた。 「毛利蘭、もし君さえ良ければ我々と一緒に行かないか?」 だが、まあ表情を見ればすぐにわかったのだが。 「……いえ、私は真戸さんの側に」 「そうか。……そう敵意を向けてくれるな。真戸にも一応、加減はしたのだぞ? このスキルはな、本当はもっとたくさんの状態異常を起こせるのだが、今回は仕方なく麻痺のみを……」 やっぱり蘭の表情が変わらないので、アインズは諦めて身を引く事にした。 蘭は麻痺で身動き取れなくなった真戸を、安全と思える家の中に引っ張っていってそこで回復を待つと言う。 アインズ達は彼等を置いて、先を進む事にした。 アクアがドジ踏んだ件に関しては、胡桃が延々文句を言っていたのだが、アクアが普通に逆ギレしてきて、しかもその言いっぷりがカネキが悪いみたいな感じになってきたので胡桃が強引に話を切ってやった。 ただでさえカネキが原因で口論になり、挙句カネキに対してもかなりヒドイ言い草をされたのだ、きっと気にしているだろうと胡桃は思ったのだが、アクアをなだめ終わってカネキを見ると、彼はとても安らかな笑みを浮かべていた。 すぐにぴんと来た。 アインズの言葉が、きっと嬉しかったのだろうと。 そのアインズはというと、何故かアクアに絡もうとしている。 遠まわしに何かを聞き出そうとしているっぽいが、アクアが絶望的に察しが悪いせいで全く上手くいっていない。 胡桃はこの間にカネキの隣に行き、その背中を軽く叩いてやる。 「え?」 「良かったね、アインズさんが居てくれて」 咄嗟には、何の事を言っているのかわからなかったカネキだが、すぐに胡桃の言葉の真意を理解する。カネキもずっと考えていた事でもあるのだから。 「うん」 だからそうやって聞かれて答えたとき、カネキはこれまで見た事がないぐらい、素敵な笑顔で返すことが出来たのだ。 【F-4/早朝】 【恵飛須沢胡桃@がっこうぐらし!】 [状態]:健康 [装備]: [道具]:支給品一式、MINIMI軽機関銃(200発マガジン。残弾6割ほど) [思考・行動] 基本方針: 1:友達を捜し出して守るためにアインズとカネキとアクアと同行し、ナザリックを目指す。 2:愛用していたシャベルを探す。 3:アクアは一人でほっといたらエライ事になる。 ※双腕仕様油圧ショベル「アスタコNEO」@現実? は港に置いておきます 【アインズ・ウール・ゴウン@オーバーロード】 [状態]:健康、魔力消費(小)超位魔法一回消費(一日四回) [装備]:なし(装備は全没収。モモンガ玉も機能停止) [道具]:支給品一式、不明支給品1~3(確認済み)リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウン [思考・行動] 基本方針: 0:ナザリック及びギルド:アインズ・ウール・ゴウンに害するものを許さない。 1:アルベド、シャルティア、デミウルゴスが気がかりなため一刻も早く合流したい。 2:他のNPCも心配。様々な情報を得る意味でも地図上のナザリック大墳墓に向かう。 3:ナザリックを優先した上で、胡桃、カネキ、アクアは保護。他の参加者とも理由なく争うつもりはなく友好的に接したい 4:分からないことだらけなので慎重に行動し、情報を得たい。 5:胡桃、カネキ、アクアと共にナザリックを目指す。 ※自身への制限は大体理解しています。 ※容姿はアニメとかでお馴染みの基本スタイルですが、アイテムとしての防御力は持ちえません。 ※アニメ終了後時期からの参戦です。(対リザードマン準備中) 【金木研@東京喰種トーキョーグール】 [状態]:健康 [装備]: [道具]:支給品一式、不明支給品1~3 [思考・行動] 基本方針: 1:アインズ、胡桃、アクアと同行しナザリックを目指す。 【アクア@この素晴らしい世界に祝福を!】 [状態]:健康 [装備]: [道具]:支給品一式、不明支給品1~3 [思考・行動] 基本方針: 1:アインズ、胡桃、カネキと一緒になざりっくって所に行ってあげる。 2:カズマとめぐみんとダクネスを探す。 【G-3/早朝】 【毛利蘭@名探偵コナン】 [状態]:健康 [装備]: [道具]:支給品一式 [思考・行動] 基本方針: 1:江戸川コナン、灰原哀を探して守る 2:真戸呉緒と行動を共にする 注:ユグドラシルで言う所のレベル十五~二十相当の戦力であると判定されました。武装もスキルも何も無い状態でっ。 【真戸呉緒@東京喰種トーキョーグール】 [状態]:麻痺の術で体が動かない。 [装備]:エレザールの鎌、扶桑刀 [道具]:支給品一式 [思考・行動] 基本方針: 1:グールを探して殺す。 2:カネキと呼ばれるグールをどうにかして殺す。 3:毛利蘭と行動を共にする 注:ユグドラシルで言う所のレベル十五~二十相当の戦力であると判定されました。 【G-3/早朝】 【デミウルゴス@オーバーロード】 [状態]:健康 [装備]: [道具]:支給品一式、不明支給品(1~3) [思考・行動] 基本方針: 1:アルベドとシャルティア・ブラッドフォールンを探す。 2:脱出の為、情報を集める。 注:デミウルゴスのスキル「支配の呪言」は弱体化されており、ユグドラシルで言う所のレベル15相当以下の相手にしか通用しません。 時系列順で読む Back 蟷螂の斧 Next 芳佳のあのね 投下順で読む Back 蟷螂の斧 Next 芳佳のあのね 022 女神のもとにアンデッドは集う 恵飛須沢胡桃 057 好意には友愛を、敵意には報いを アインズ・ウール・ゴウン 金木研 アクア 008 魔人の威力 毛利蘭 052 悪魔 真戸呉緒 デミウルゴス
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場外舌戦 二度目の榊との対面から、数時間ほど経った頃。 「いつまでこうしているつもりだ?」 いつも通りの授業を終えて、新聞部の部室にいたひよのは、アサシンからそう問われていた。 「明日からは本戦が始まるんだ。いつまでも引きこもっているわけにもいかんだろう」 無愛想なサーヴァントの声には、微かに苛立ちが浮かんでいる。 結局この1週間近く、ひよのはひたすら情報収集に徹し、それ以外に何もすることはなかった。 結果として彼女の手元には、既に13騎のサーヴァントの、過半数近くの情報が集められている。 だが、それだけでは意味がない。 売り出すにせよ自分で使うにせよ、行動しなければ宝の持ち腐れだ。 今まではまだよかったが、まさか本戦になってなお、こうして立ち止まっているつもりかと、アサシンは問いかけたのだった。 「もちろんです」 対するひよのの答えが、それだ。 ただ引きこもるだけではなく、いよいよ動くべき時が来たのだと、彼女はそう言ったのだ。 「といっても、アサシンさんのステータスでは、闇雲に突っ込んでも勝ち目はありません。 たとえマスターを狙って、懐に忍び込んだとしても、決して無傷では済まないでしょう」 「だろうな」 マスターの無慈悲な分析に、ため息をつきながら同意する。 もとより輝島ナイトは暗殺者(アサシン)ではないのだ。 たまたま隠密性に優れた能力を持っていただけで、専門的な訓練を受けていたわけではない。 そのため気配遮断のスキルも、どうしても精度が低いものになってしまう。 情けない話だが、このランクでは、攻撃の瞬間に隙ができてしまったとしても、止むなしといったところだろう。 そして英霊サーヴァントは、その隙を見逃すような凡夫では、ない。 「倒すべき敵は13人もいる。いちいち危険を冒していては身が保たん」 「ですからまずは、同盟を組むことを考えます」 言いながら、ひよのはパソコンへと向かった。 マウスのボタンを人差し指で叩き、次々とファイルを開いていく。当然呼び出すのはマスターの情報だ。 情報は自分で使うだけのものではない。他人に漏らすことによって、戦いを加速させることもできる。 更にそうした情報を、優先して与えると約束すれば、役立っている間は殺されることもないというわけだ。 「既に何人か候補は見繕っていますが……」 とはいえ、誰でもいいわけではない。 交渉に応じる気がありそうな人間というものを、正確に見抜いて選ぶ必要がある。 巻き込まれた被害者気取りなのは論外だ。たとえ武器を与えても、当人に使う気がなければ、無用の長物と言うほかない。 あからさまな危険人物も、避けた方がいいだろう。話も聞かず殺しにかかってくる可能性がある。 「……やはり、ここは彼女ですかね」 選んだデータに添付された写真は、飲食店で若い男相手に、怒りの形相を浮かべる少女だった。 黒髪と赤い長袖の少女は、同級生の遠坂凜――ライダーのサーヴァントを従えるマスターだ。 サーヴァントのステータスには不安もあるが、本人のやる気は申し分ない。 何よりこのマスターには、個人的に聞いてみたいこともある。 「そいつは確か、学校には来ていないんだったな。ならさっさと家に行くぞ」 「その前に、やっておくことが1つ」 部室を出ようとするアサシンを、制止した。 厳選に厳選を重ねた結果が凜だが、万一の読み違えという可能性もある。 危険な状況になった時のために、打てる手は打っておかなければならない。 「……おい、何をやっている?」 ひよのはスクリーン上に並んだ、参加者情報のファイルを、左クリックで掴んでドラッグした。 ◆ 会場として用意された冬木市は、現実とは異なる歴史を歩んだ、ifの世界観の町だったらしい。 それがこの予選期間を通じて、遠坂凜が調べ上げた末の結論だった。 この冬木市には現実と違って、魔術及び聖杯戦争の痕跡が、欠片も見当たらなかったのだ。 たとえば遠坂邸にあるはずの、魔術関連の蔵書やアイテムは、全て姿を消してしまっている。 魔術師の家という事実は消滅し、単なる古びた洋館というのが、この世界の遠坂邸だった。 更には第4次聖杯戦争の最終決戦の場となったという、冬木中央公園にも、同様の変化が生じている。 そこは公園の形を保ってはいるものの、以前に火事があったという事実は、どれだけ調べても見当たらなかった。 柳洞寺に至っては、どういうわけか、無人の寺と化してしまっていた。 人間関係に生じていた変化も同様だ。 同級生の衛宮士郎は、衛宮でない別の苗字を名乗っている。友人と一緒にいる機会が多いようだが、人格にも変化が生じているのかもしれない。 また妹の桜に至っては、遠坂家との血縁関係が完全に消滅し、最初から間桐の家に産まれた子となっていた。 要するに赤の他人になったのだ。姉であるはずの凜にとっては、これが一番の衝撃かもしれなかった。 もっとも彼らは本人ではなく、それっぽく繕った偽物であるということは、重々承知しているのだが。 「うーん……」 夕食を早々に済ませ、片付けて一息ついた頃。 テーブルにルーズリーフを並べ、それらを一つ一つ見やりながら、凜は小さく唸っていた。 それぞれに記されているのは、これまでの調査結果の数々だ。 全て手書き文書になっているのは、当然機械嫌いが原因である。パソコンの前に座り込んで、これだけの書類を作るなど、考えただけで気が狂いそうだ。 「また変なことで悩んでんなぁ、凜ちゃんは。0時から本戦なんだぜ? そっちに集中しなくていいの?」 言いながらどっかと隣に座ったのは、黒コートを羽織ったライダーだった。 思えばこのサーヴァントの態度も、随分と馴れ馴れしくなった気がする。いつの間にか呼び方も、マスターから名前に変わっていたくらいだ。 「うっさいわね。あんたも悩みの種なのよ、悩みの」 「俺が?」 「ホントは出てくるはずのない英霊なのよ、あんたは」 ジト目でそう言いながら、凜は資料の1枚に手を伸ばす。 本来の聖杯戦争との矛盾点――そう記されていた文書には、以下のように書かれていた。 サーヴァントとは本来、歴史や伝承に名を残す英霊でなければならない、と。 「俺が歴史に残ってないってこと?」 「涼邑零なんて名前は、どれだけ調べても見つからなかった」 ライダーのサーヴァントの真名は、歴史にも伝承にも残っていなかったのだ。 「そりゃそうかもしんないな。ホラー狩りってのは総じて、人目につかないようにやるもんだから」 「そこの時点でおかしいのよ。魔物を狩っていたっていうなら、必然聖堂教会なんかとは、かち合ったりするもんでしょ?」 であればそこから間違いなく、記録は残されるはずだと、凜は言った。 ホラーなるものの件について気にしているのは、この場で調べられないということではない。 そのホラーという分類に属する魔物を、これまで魔術師を続けてきた凜が、一度も聞いたことがないということだ。 ライダー達魔戒騎士なる存在も同様で、聖堂教会以外に異端狩りを行う組織があるなどとは、これまでに聞いたこともない。 「確かになぁ。俺も教会なんてのは聞いたことないし」 「ねぇ、あんたホントに何者? ホントにこの世界の英霊なんでしょうね?」 どうにも情報を交わせば交わすほど、食い違いこんがらがってくる。 ひょっとするとこの英霊は、最初から凜の世界には存在せず、むしろあちら側の別世界からやって来たのではないか。 荒唐無稽とも言えるが、そんな仮定さえ浮かんでくるほどだった。これが冬木の聖杯戦争なら、地名度補正もガタ落ちだ。 「――なるほど。さすがによく調べている」 その時だ。 不意に第三者の声が、窓の方から聞こえてきたのは。 「!?」 反射的に、そちらを向く。 じゃきんと鋭い音を立て、ライダーが双剣を構える。 シルエットだけを見れば、かつて従えたアーチャーのようだ。もっとも性格もコートの色も、あの皮肉屋とは大違いだったが。 「敵襲……!?」 開かれた窓から覗くのは、黒い異形の顔だった。 牛か鹿かのそれのように、その漆黒の頭部から、曲線を描く角がせり出している。 赤い瞳を爛々と光らせ、こちらを伺うその様子は、鬼か悪魔を連想させた。 明らかに常人の姿ではない。コスプレ野郎の悪ふざけでもない。 だいたい地上2階の窓に、そんな奴が貼り付けるはずもない。 であれば敵のサーヴァントだ――凜は警戒を込めて標的を睨む。 認識されたクラスは、アサシン。隠密と暗殺に特化した、先の聖杯戦争では戦わなかったサーヴァントだった。 「これは失敬。しかしご心配なく。我々は戦いに来たわけではありませんから」 その時、新たな声が響く。 ちょうどアサシンのいる辺りから、明らかに声色の違う声が聞こえる。 黒鬼がその体を浮かせた。高度が上がったことによって、その上半身が露わになった。 そこにサーヴァントが抱えていたのは、穂群原学園の制服を着た、おさげ髪の少女の姿だ。 同じ学園に通う女子生徒。しかも大きな2つの三つ編み。 記憶を取り戻す前の凜は、彼女を既に知っていた。あまりに有名人であったが故に、知らずにはいられなかったのだ。 「あんたまさか、新聞部長……!?」 「はい。アサシンのマスターをしております、結崎ひよのと申します」 そう言ってにっこりと笑う制服の少女は、アサシンの手からするりと抜けて、窓へと足を引っ掛けた。 スカートがめくれないよう抑えた動作で、そのまま室内へと入ってくる。 どこか妙に手慣れた所作だ。凜も――そして横のライダーもまた、そのあまりにシュールな光景に、すっかりと毒気を抜かれていた。 「まだ本戦開幕の手前ということもありますし、今日はただ、情報交換をできればと思いまして」 「情報交換……? 他のライバルの情報のこと?」 「いえ。私がお持ちしたのはそういうものですが、貴方にお聞きしたいことは別にあるのです」 言いながら、ひよのは丁寧に靴を脱ぐと、窓の外に出して土を払った。 それを室内へと戻すと同時に、アサシンのサーヴァントが部屋へと入る。 漆黒の鬼を従えた、愛らしいおさげを揺らす少女は、そうして凜へと向き直ると、 「遠坂凜さん。貴方は今回のものとは別の聖杯戦争――前回の聖杯戦争からのリピーターですね?」 満面の笑みを浮かべながら、そう確認したのだった。 ◆ 厳密には今回の聖杯戦争は、冬木のそれとはイコールではない。 魔術師であることが参加条件になっていないなど、重要なところからどうでもいいところまで、随所に細かな違いがある。 そのことを凜はひよのに対して、包み隠さず正直に話した。 魔術師でないらしいひよのにとっては、大したアドバンテージにはなり得ないからだ。 こんなところで事を荒らげるよりは、無駄な争いを避けた方が、この場は得策であると考えた。 もちろん直接戦闘向けでないアサシンなど、ライダーの宝具の力を使えば、たやすく倒せる自信はあったが。 「それにしてもあんた、どこでそんなことに気付いたのよ?」 不機嫌そうな顔で凜が問う。 今回のひよのの問いかけは、机に散らばった資料を見て、咄嗟にしたものとは思えない。 間違いなく以前より情報を収集し、聖杯戦争の関係者であると確信した上で、それを聞くためにやって来た者の態度だ。 「それは企業秘密です♪」 そんな凜の問いかけに対し、これ以上ないほどに快活な笑顔で、ひよのはそう答えたのだった。 アサシンは先ほどああ言っていたが、よっぽどこいつの方が「よく調べている」。 その底の見えない態度を見て、凜は癪に感じながらもそう評していた。 「……それで? あんたも情報を持ってきたって聞いたけど、それはちゃんと使えるものかしら?」 「ええ。私は今日までの時点で、既に5騎のサーヴァントを確認し、うち4騎のマスターの身元を割り出しています」 「ごっ……!?」 思わず声が上がってしまった。 5騎。5騎と言ったか。せいぜい1騎か2騎くらいを見たことがあるんだろうと思っていたが、そこまでいくか。 「もちろん、これまでに何度かごたごたが起きているようですから、その中には既にリタイアしている人もいるかもしれませんがね」 ああでも、確かにこの女なら、やってのけるかもしれない。 事も無げにそう言うひよのを見て、凜はがっくりと肩を落としながら、思った。 どうもこいつと話していると、随分と体力を消費してしまう。 掴み所のない態度と、さらりと爆弾発言を放ってくるのとが、想像以上に精神にクる。 「ですから、今後貴方が私と協力関係を築き、不可侵の関係を約束してくれるというのなら、私は喜んで貴方のために、情報を提供させていただきますよ」 聖杯戦争の情報を聞いたばかりだが、ついでにそれくらいは求めさせてもらうと、言った。 『どうする?』 直後に声を発したのは、ライダーだ。 もっともそれは肉声ではなく、パートナー間でのみ通じる、念話による問いかけだったが。 『信用できるとは思うわ。多分こいつの地獄耳なら、その半分くらいの数は調べられる』 返答は肯定だ。凜は情報収集能力という一点において、この来訪者を信用した。 もとより学園中の人間の弱みを握っていると、悪名が轟いていた新聞部長だ。 その上ライダーとの会話でしか口にしていない、冬木の聖杯戦争について、正確に認識してきている。 盾とするだけの価値がある情報を、こいつが握っているというのは、間違いないと見ていいだろう。 「……あたしがあんたをここで殺して、データを盗み取る可能性は?」 であれば次に考えるのは、それをいかにして手に入れるかだ。 同盟締結以外の形で、手っ取り早く入手できるか。それが何よりの気がかりだった。 「あり得ませんよ。私は既に手持ちのデータを、全て消去していますから」 「っ」 「これまで収集したデータは、全てここに納めています」 逆にこの命が失われれば、ここに集めてきたデータは、全て闇に葬られるのだと。 己が頭を指しながら、ひよのが言った。 ハッタリかもしれない。しかしリアリティもある。 4人分くらいの住所氏名なら、確かに暗記できてもおかしくはない。こちらを牽制するために、データを消すという可能性もあり得る。 彼女の言うとおり、彼女を殺せば、情報が失われるという可能性は、十分にある。 「じゃあ、あんたを捕まえて拷問して、情報を吐かせるという可能性は?」 「それこそあり得ん。サーヴァントである俺がそれを許さん」 そこで睨みをきかせたのが、背後に立ったサーヴァントだった。 黒鬼姿のアサシンは、既にその変身を解いていた。素肌むき出しの上半身に、黒いロングコートを羽織っているという、独特なルックスの青年だ。 確かにマスターに対しては、監禁し拷問を加えるという行為は意味をなさない。 何故なら令呪さえあれば、どこからでも強制的にサーヴァントを引き寄せ、対処させることができるからだ。 とてもそんな状況では、拷問に専念することなどできそうにない。 「……まぁ、そうでしょうね」 故に凜もこれに関しては、素直にそう言って引き下がった。 「分かったわ。あんたのことは見逃してあげる。その代わり新情報が入ったら、逐一あたしに知らせなさいよ」 「ええ、それはもちろんです。今後とも良きパートナーとして、末永くよろしくお願いしますね」 きっとこいつの魂胆としては、自分に他のマスターを、できるだけ多く倒させるつもりなのだろう。 情報を与えることで戦況を加速させ、労せず共倒れへと持ち込む――そうして自分を利用する気だ。 それでもこいつのちらつかせる餌が、十分に魅力的なのは事実だ。そしてどの道他のライバルは、全員蹴散らさなければならないのも確かだ。 いいだろう。毒を食らわば皿までとも言う。 お望み通り提案に乗って、踊ってみせようではないか。 不本意ではあるが、覚悟を決めて、凜はひよのの要求を呑んだ。 「では早速、この近くのサーヴァントについて、情報を提供させていただきますね」 言いながら、ひよのは懐へと手を伸ばす。ごそごそとポケットから取り出したのは、何枚かの写真だ。 ちくしょうめ。結局残ってるじゃないか。 まぁ確かに容姿などは、口頭で他人に伝えることはできないから、これだけは保管していてもおかしくはないかもしれないが。 「ちょうどこの近辺に拠点を置いているのが、このアーチャーのサーヴァントです」 差し出された写真に写っていたのは、これまた異形の鎧だった。 生身の部分が全く見えない、全身鎧ずくめといった様子だ。あるいはひよののアサシンのように、変身するタイプの英霊なのだろうか。 「それでこいつのマスターなんですけど、これが先ほど申し上げた、素性の分からないマスターでしてね……」 そこまで言っておさげの女は、不意にその先の言葉を濁した。 これまで自信満々な彼女にしては、随分と似つかわしくない口ぶりだ。 そもそもここまで特定しておいて、素性が分からないとはどういうことなのだ。 サーヴァントだけでなく、マスターすらも、別の写真に写しているというのに。 「……家がないみたいなんですよ、この人……」 「………………は?」 続く言葉を理解するのに、一瞬の間を必要とした。 ぼさぼさの金髪を腰まで伸ばし、ボロ布に身を包んだマスターを、結崎ひよのはそう紹介した。 【開幕1日前・夜/遠坂邸】 【遠坂凜@Fate/stay night】 [状態]:健康 [令呪]:残り三画 [装備]:無し [道具]:宝石魔法セット一式、本聖杯戦争に関する調査メモ一式 [所持金]:貧乏(ギリギリ一人暮らしを維持できるレベル) [思考・状況] 基本行動方針:優勝狙い 1.今回の聖杯戦争に違和感。その正体を知りたい 2.ひよのと同盟を組み、情報を提供してもらう [備考] アサシン(輝島ナイト)のパラメーターおよび宝具を確認済。 本会場と現実の冬木市との差異を調査済。 【ライダー(涼邑零)@牙狼-GARO-シリーズ】 [状態]:健康 [装備]:魔戒剣×2 [道具]:無し [思考・状況] 基本行動方針:特になし。マスターに従う 1.凜ちゃんを守る [備考] 無し。 【結崎ひよの@スパイラル~推理の絆~】 [状態]:健康 [令呪]:残り三画 [装備]:無し [道具]:通学鞄、サーヴァントの写真 [所持金]:普通(一人暮らしをできるレベル) [思考・状況] 基本行動方針:優勝狙い 1.他のマスターに情報を提供し、潰し合いを加速させる 2.凜と同盟を組み、ターゲットから外してもらう [備考] ライダー(涼邑零)、アーチャー(シド)を含む5騎のサーヴァント、および遠坂凛を含みヴィラルを除く4人のマスターの身元を確認済。 ライダー(涼邑零)のパラメーターを確認済。 新聞部室PC内のデータを破棄。 冬木市の聖杯戦争の存在を認識。 【アサシン(輝島ナイト)@セイクリッドセブン】 [状態]:健康 [装備]:無し [道具]:デジタルカメラ [思考・状況] 基本行動方針:特になし。マスターに従う 1.ひよのを護衛する [備考] 無し。 BACK NEXT 開幕――そして本当の始まり 投下順 ファースト・ラウンド 開幕――そして本当の始まり 時系列順 ファースト・ラウンド BACK 登場キャラ NEXT 第4の座――真実の探求者 遠坂凜 ファースト・ラウンド ライダー(涼邑零) 第9の座――観測する者 結崎ひよの - アサシン(輝島ナイト) ファースト・ラウンド
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